【毎日書評】伝説の天才デザイナー、ココ・シャネルが残した成功を生む「3つのことば」
自分の持つ力は使ってこそ価値がある
わたしが心底浪費したいと思う唯一のもの、それはわたしの力 『シャネル、人生を語る』(52ページより) ココ・シャネルはビジネスの成功によって多くのお金を手にしている一方、「私は何百万と浪費した」と話しているように、多額のお金を大胆に使ってもいました。ただし、ものを買うこと自体は好きだったものの、コレクターのようになにかを集めたり、ためこんだりすることを好んでいたわけではなかったようです。 そして世間がイメージするような浪費家と違うのは、自分の贅沢のためにではなく、自分が愛する人や、才能ある人たちを援助することを目的にしていたこと。「仕事でも恋愛でも友情でも、受け取るより与えるほうがずっと好き」という考えだったというのです。 そんなシャネルがお金以上に浪費したいと願っていたのが、「わたしの力」だったのだとか。「説得し、あたえるためなら、よろこんで持てる力をふりしぼる」と断言するほど、自分の持つ力に価値を見出していたということです。 シャネルは、モード(最先端のスタイル)もクチュリエ(デザイナー)が与える贈り物だといいます。すごいものを作り、すごい人の才能をバックアップするためならシャネルは持てる力をいくらでも使いました。(49ページより) つまり、それこそがシャネルの考える本当の意味での「浪費」だったということです。(48ページより)
退屈するくらいなら挑戦して失敗するほうがいい
退屈していたのです。それに気づくのに15年かかりました。私は無よりも失敗を選びます。 『シャネル、革命の秘密』(52ページより) 長らくファッションの世界で革命を起こし続けたココ・シャネルは、第二次世界大戦が勃発した56歳のときに、アクセサリーと香水部門を除いて店を閉める決断をしました。そののちはスイスに移住し、長い沈黙の時代が続くのですが、70歳のときパリに戻り、カムバックを決意しました。 香水部門からは十分な利益を得ていたため、危険を冒してまでカムバックする理由はなかったはず。しかも、そのときはすでにクリスチャン・ディオールに代表される「ニュールック」がもてはやされる時代になっていたため、15年ものブランク期間を経たシャネルは、「過去の人」となっていたのです。 にもかかわらずシャネルは復活を決意します。失敗の恐れのある無謀な挑戦でしたが、シャネルは「(やることのない)無よりも失敗を選ぶ」と心を決めたのです。(61ページより) その挑戦は当初、フランスでは「失敗」と見られたといいます。しかし、アメリカでは喝采をもって迎えられることに。そうしてふたたび、モード界の主役の座を勝ち得たわけです。(60ページより) 1項目1見開きの構成により、シャネルのメッセージをコンパクトにまとめた一冊。それらは、長い時間を経てもなお説得力を投げかけてくれるはず。厳しいビジネス環境を乗り越えていくための糧として、活用してみてはいかがでしょうか。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: リベラル社
印南敦史