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イニエスタ、和の心で精神統一 J1再開まであと2週間…フィンク監督発案で座禅トレ

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サンケイスポーツ

 J1神戸は21日、神戸市内でのチーム練習後に京都市東山区の建仁寺(けんにんじ)の塔頭(たっちゅう)である両足院から副住職を招き、座禅体験を行った。2月末に同院を訪ねたトルステン・フィンク監督(52)の発案で、初体験だった主将の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(36)はあぐらを組むのに四苦八苦。7月4日のJ1再開に向けて精神統一に励んだ。  グラウンドが不思議な光景に包まれた。走り回っていた神戸イレブンが一斉にスパイクを脱ぎ、ピッチに座り、呼吸を整えてゆっくり目を伏せる。ただの休憩? いえいえ、これもトレーニングの一つ。仏道の教えに触れたMFイニエスタが振り返った。  「座禅は初めての経験でしたが、とても楽しくできました。慣れていないのであぐらを組むのは少し難しかったですが、一度奥さんと一緒に体験したい」  そのプレーが神がかり的と形容されるイニエスタ。既に悟りを開いた高僧のようなたたずまいだが、足元だけはぎこちなかった。  発案者はフィンク監督で、2月に臨済宗の総本山である建仁寺(京都市東山区)の塔頭寺院、両足院を訪れ、実際に座禅を体験した。「日本の文化になじむのは大事なこと。チームとして経験することによって全員のスピリットが上がる」とすっかり心酔。この日は伊藤東凌副住職を招き、体重移動を意識した歩行と座禅の指導を受け、「神戸には外国人選手も多いですし、彼らにとってもよい経験になる」と満足そうにうなずいた。  禅宗の考えはスポーツとも無縁ではない。サッカーでも無類のコンビネーションプレーが起こったときに用いられる「以心伝心」はもとは禅宗の用語。文字で表せない仏法の神髄を、心に伝えることを意味した言葉だという。  「テクノロジーのおかげで、会えなくてもチームは一つ」とも話していたイニエスタ。新型コロナウイルスの影響による活動休止中も、ビデオ会議アプリの導入でチームメートとの意思疎通は継続していた。7月4日のJ1再開に向け、以心伝心のパス回しに自信をみせる。  再開初戦でぶつかる広島は、2018年のイニエスタ加入後に1分け2敗と分が悪い。しかし、仏の顔も3度まで。フィンク監督は「いまのうちに精神を整えて、一致団結してシーズンに挑むためにも、この座禅体験は大きな意味がある」と鬼門突破に力を込める。2週に1度のPCR検査、数節は無観客での開催など制限を受ける今シーズン。座禅によって邪念を振り払い、リーグ優勝に突っ走る。(邨田直人)  ◆座禅とスポーツ選手  プロ野球では「打撃の神様」と呼ばれた元巨人の川上哲治氏が有名。座禅に関する著書を出すほど精通しており、教え子である長嶋茂雄氏(現巨人終身名誉監督)、王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)らも取り入れた。サッカーでは、手倉森誠監督(現J2長崎監督)が率いた2016年リオデジャネイロ五輪世代が15年に京都の禅寺を訪問。1998年長野五輪で金2銀1のメダルを獲得したスキージャンプの船木和喜も実践した。  ◆座禅とは 仏教で、静かな場所で姿勢を正して座った状態で精神統一を行う、禅の基本的な修行法。日本では宗教や宗派とは無関係に精神鍛錬としても認識され、座禅を指導する禅宗の寺が多く存在する。姿勢、呼吸、心の3つを整え、一切の邪念から離れて、無我の境地に到達することが基本とされている。  ◆両足院  京都市東山区にあり、臨済宗の開祖である栄西が開山した建仁寺の内部に建てられた塔頭の寺院で、龍山徳見によって14世紀に開かれた。室町時代の中期まで、禅宗寺院で行われた漢文学である「五山文学」の最高峰の寺院であるなど、学問の面で建仁寺の中核を担った。現在は院内で座禅体験を実施。2000円で座禅や法話などを90分受けられ、御本尊参拝などもできる。初夏や冬などに庭園や文化財を限定公開しており、今月20日から方丈や書院などが拝観可能になっている。

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