じつは歴史研究者からは見向きもされていない幕末の謎、坂本龍馬の「暗殺」をめぐる3つの“考察”
危険を察知した紀州藩は、会津藩を通じて、新撰組を派遣してもらい、警護にあたらせました。その結果、海援隊と新撰組の間で、戦闘に発展し、死傷者が出るほどの騒ぎとなりました。 つまり、龍馬の仲間たちは、紀州藩が龍馬を暗殺したのだと考えて、行動を起こしているのです。紀州藩からすれば、あることないことでっちあげられて、当たり屋のような真似をされ、多額の賠償金を取られたことを恨みに、坂本龍馬の暗殺を実行したということもあり得なくはありません。
いずれにせよ、いろは丸の裁判だけを見ると、坂本龍馬という人物は非常に胡散臭く見えてしまいます。それも含めて、人間・坂本龍馬の魅力だったということでしょうか。
本郷 和人 :東京大学史料編纂所教授