幼少期の最大のミッション「10のかたまり」の感覚が養われれば、算数が得意になっていく
子どもたちが先の見えない時代を生き抜くために、専門的な力を身に付けさせたい。そういった思いから「子どもを理系にしたい」という親が増えている気がします。確かに、どんなにテクノロジーが進んだ社会になっても変わらず求められるのは、テクノロジーそのものを生み出し、その真価を前へ推し進める知性でしょう。単位学力が高いだけでなく、目標に向かう方法や問題解決手段を自分で考える力があるか、努力する活力がありそれを持続させることができるかということが重要になります。 先取り学習や繰り返しのドリル学習では本物の理系力は身に付きません。大切なのは「数の感覚」や「理系的なものへの好奇心」をどう育てていくかです。本コラムでは、子どもを理系に育てる具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。 【図解】「10の補数」の感覚 *本記事は『理系が得意になる子の育て方』(西村則康・辻義夫、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。
5歳までに「10の補数」の理解を徹底的に
多くの人は、「6」と言われたら、なんとなく「4」が思い浮かびます。「3」なら「7」です。これを「10の補数」の感覚といいます。1年生の算数のメインテーマは、「10の補数」の理解です。 10の補数の感覚がしっかりできあがると、「18」と言われたら、「100にするには82」とすぐに思い浮かぶようになります。18の1の位の8と2が対応していて足したら20になるから、残り80だというのが体感的にわかるのです。 数字が3桁になろうが4桁になろうが同じです。「333」には「667」という具合に数字が浮かんでくるわけです。 こうした10の補数に基づく感覚が希薄な子は、いわゆる数字に弱いタイプであり、算数があまり好きではないタイプです。この感覚を学ぶことを避け続け、スルーしてきてしまった子は、2年生あたりなら3割ぐらいはいます。 高学年になっても指が動いてしまうという状態にだけは陥らないように、お子さんとどんなふうにかかわればいいかを知っておくといいでしょう。 やり方としては、おはじきやミカンなどなんでもいいので物を並べて、「こっちに7つ、こっちに5つ。7つのほうに3つ寄せたら10個になったよね」と、「10のかたまり」を目でわかるように見せます。この感覚は、理解するとかそういうレベルではなく、身に染みつくまでやるということが肝です。 そこでぜひおすすめしたいのが、手を使った遊びです。お母さんが手の指で3を出したら、お子さんが7を出して、合わせて10にします。 これは、親子だからこそできる間合いの遊びなんです。自転車にお子さんを乗せているときに、突拍子もなくお母さんが「3」と言ってみる。家族でドライブ中にお父さんが仕掛けてみてもおもしろいですね。