2050年には新宿・池袋にいる4割が外国人に?上がらない日本の出生率、増え続ける移民 どこまで受け入れ“共生”するのか「日本が魅力的な移民先であるのは間違いない」
■住民5人に1人が外国人 群馬県大泉町の現状「外国籍の子どもが40%の学校もある」
群馬県大泉町は、町ぐるみで外国人との共生を進めてきた。すでに住民の5人に1人が外国人で、特にブラジル人が多く住む街として知られている。町内で在住外国人との共生に尽力する大泉国際交流協会の糸井昌信会長は、「群馬県では昨年1年間で、日本人が1万8000人減った。これは小さな町が1つ消えるのと同じだ」と分析する。 2050年には外国人比率が43.2%になると試算されるが、実感としても「いまの状況が続けば、そうなるのではないか。外国籍の子どもが約40%の学校もある」。共生する上で重要となる点については「言葉や文化の違いといった壁を、ひとつずつクリアすることが大切だ」と、コミュニケーションをあげた。 交流協会では現在、日本語講座や学習支援、交流を図る文化講座などを行っている。「孤独でどうやって生活すればいいかわからない外国人に、居場所を作る側面もある」とし、移住者への苦情をアイディアに変える試みも行っている。「ポルトガル語で『この地域のゴミの出し方』をチラシにして」、面談しながら配布した。 共生を目指す過程では、以前からの住民との距離感もあった。「当初は日系人が多く、日本語やルールをある程度理解していたが、移住者が増えると徐々に『田舎の理論』が働き始める。『地域活動に参加しない』『子どもが学校に通っていないんじゃないか』と拒絶反応を持つ住民もいた」と、当時を振り返った。
■日本で移民が増える理由「日本は魅力的」「非常に住みやすい」整備が遅れる“共生”ルール
ドイツ出身エコノミストのイェスパー・コール氏は、「人口減少の問題は、数十年前からの予測が大体当たっているが、政治でほとんど議論されていない」と指摘する。「西洋やアジアの友人と話すと、日本は非常に住みやすい。ドイツやアメリカよりも移民に優しく、だからこそ日本に来るわけだが、社会的にどうすべきかの議論は不十分だ」と、増える移民に対しての準備不足を指摘した。 佐々木氏は「議論しないのは、『移民を入れたくない』国民意識の表れだ」とみる。「国際社会での“移民”の定義は、1年以上の在留資格を持つ人で、日本はすでに移民大国だが、絶対に認めず『透明な存在』として扱っている。タブー視しているのは、自民党政権だけでなく、国民もそうだ」と、国民感情の側面にも着目した。 よく出る「給料が安いから日本には来てくれない」という意見には、「大卒のエリート中国人が、中国の競争社会に疲れて、食文化や自然、行儀の良さに憧れて来日するケースも多い」と説明。「日本が魅力的な移民先であるのは間違いない。ただ、日本人はそれを見ないようにしている。国民的なコンセンサスが取れないまま進むと、移民排斥が始まる可能性がある。参政権の範囲や、日本文化のルールの順守など、線引きする必要があるのではないか」と、新たな課題・火種が生まれる点についても触れた。