バードストライク防止へ 鳥の嫌がる音、効果を実証実験 長崎・対馬空港
航空機に鳥が衝突する「バードストライク」を防ぐため、長崎県が管理する対馬空港(対馬市美津島町)に対策機器が設置された。鳥の嫌がる音を出して滑走路に近づけないようにする仕組みで、効果を確認する実証実験をしている。県内の空港では、国が管理する長崎空港(大村市)を含め初めて導入した。 海外ではバードストライクが原因で多数の死者が出る航空機事故も起きている。対馬空港では今年7月、オリエンタルエアブリッジ(ORC)のプロペラ機が滑走路でトビと衝突し、機体の一部が損傷した。国土交通省は航空事故と認定。事故を受け、県は機器の導入を決め、9月中旬に設置した。 機器は「バードソニック」。山梨県の企業が開発し、岡山理科大の辻維周・特担教授が仕組みについて提言した。従来は鳥を音で驚かせる方法を用いていたが、バードソニックは鳥の嫌がる音を出して航空機に近づかないようにする。 元々はシカ対策の機器で、周波数を変えることでシカ以外の動物に応用している。鳥取県や島根県などでは既に設置している空港があり、徐々に鳥の数が減るなどの効果が確認されているという。 国土交通省の統計によると、対馬空港でのバードストライクは2018年が28件。以降19年12件、20年7件、21年10件、22年9件だった。県によると23年度は10件。 ただ、発生要因や衝突した鳥の種類といった分析はできていないという。県の担当者は「バードソニックの実証実験の効果を注視したい」としている。 バードソニックについて、辻特担教授は「1カ月ほどで効果が出る」とみている。効果が出ない場合は、スピーカーの向きを変えたり、周波数を変更したりして対策していく方針だ。