Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

ディオールの芸術支援、サン・マルコ広場にゴールドの滝が。

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
フィガロジャポン

世界で最も美しい広場といわれるヴェネツィアのサン・マルコ広場。そこを舞台に、とてつもなく麗しく壮大なビデオインスタレーションが9月1日に登場した。広場に面したコッレール美術館の2階、ファサードに並ぶ15の窓にゴールドの滝がうねるように昼夜を問わず絶え間なく流れ続ける映像『L’eta dell’oro(ゴールデン・エイジ)』に驚かされ、幻惑される。 ディオールが伝えた、いまも夢を見られるということ。

これはレッジョ・エミリア出身でヴェネツィアで活動するファブリツィオ・プレッシ(1940年~)の作品だ。彼もまたナム・ジュン・パイクのようにテレビモニターを使用して1970年からビデオアートを手がけ、イタリアにおけるビデオアートのパイオニアに数えられている。この作品を見た人は、21世紀の錬金術師としてプレッシの名前を心に刻むことになるだろう。

『ゴールデン・エイジ』は彼が1970年から参加し続けているヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展とあわせて今年の5月に開催が予定されていた。あいにくと国際建築展は2021年に延期され、このビデオインスタレーションはようやく9月1日、第77回ヴェネツィア国際映画祭の開幕の前夜に幕を開けることができたのだ。

自然と人工、原始的要素とテクノロジーの要素、伝統と未来を結びつける黄金の彫刻は、アーティストの心のよりどころである最も高貴なヴェネツィアに捧げる熱烈なオマージュ。ビザンティンモザイクに見られる伝統的メッキ技術を思わせる太陽のような色彩が宮殿の窓に現れて、ヴェネツィアの光や影と戯れる。

溶融したゴールドのねっとりとしたうねる流れは神秘的であり官能的であり、見る者の目を滝の中へと巻き込む。今秋ヴェネチアのカ・ペーザロ国際現代美術館では彼の回顧展が予定されていて、11月15日まで広場で見られるヴェネツィアの魔力を謳い上げるこの作品はそのプロローグなのだ。

ヴェネツィアという魔法の都で過去にも複数の作品を展示している彼だが、今回のインスタレーションはディオールの支援による。マリア・グラツィア・キウリがアーティスティック ディレクターに就任以来コラボレーションをはじめ多くのアーティストたちをサポートしているディオール。彼の作品に関わるのは今回が初めてのことで、これほど大規模で特権的なインスタレーションの実現はディオールの支援なしには不可能だった、と彼は感謝を惜しまない。そして今年80歳になったアーティストはこう語るのだ。「私はいつまでも夢を見続ける。夢こそが唯一大切なことだから。芸術を夢見る私たち。この世の中で芸術だけが我々をいまもって救済してくれるのだ」 <Plessi l’Eta dell’oro> Museo Correr Piazza San Marco Venezia

realisation : MARIKO OMURA

【関連記事】