福島県内代位弁済が前年同期比1.5倍に 中小企業4~9月 県、影響軽減へ条例改正案
福島県信用保証協会が企業の借金返済を肩代わりする「代位弁済」が2024(令和6)年度の上期(4~9月)で総額約37億円、計289件に上り、金額、件数とも前年同期と比べ1・5倍を超えていることが12日、同協会のまとめで分かった。物価高騰などでコロナ禍の際に金融機関から受けた融資の返済に苦慮する事業者がさらに増えたとみられる。県は倒産などによる地域への影響を最小限にするため、協会への弁済金の一部を免除する制度の対象を自主的に廃業する企業などにも広げる関連条例の改正案を県議会12月定例会に提出している。 同協会のまとめによると、今年度上期の月ごとの代位弁済の利用状況は6月以外は前年同期を全て上回った。特に7月は72件、約12億円と前年同月の2倍超に達した。昨年7月ごろからコロナ禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化。原材料価格高騰などの状況が改善しない上、人手不足も重なって経営や生産がうまくいかなくなり、代位弁済を利用する中小企業が増えたと見ている。今年の県内企業の倒産件数はリーマン・ショックの影響が残っていた2009(平成21)年以来の高水準となっており、帝国データバンクによると、11月末までに累計112件となった。
今後、同協会に弁済金を支払えずに倒産する企業が増えた場合、地域内で取引先の連鎖倒産などが起きる恐れがある。県は条例の改正により、現在は事業再建を目指す企業にのみ適用される返済の一部免除を法的手続きを取らずに当事者同士で協議する「私的整理」に入る企業も加える。公表などがされない手続きのため、経営者の対外的な信用を維持し新たな創業につなげられるメリットもある。適用には、金融機関と協議した上で債務弁済計画を作成し、県知事の承認を受ける必要がある。 県経営金融課は「物価高に伴う燃料費の高騰や賃上げなど、中小企業を取り巻く状況は厳しい。引き続き支援していく」としている。