スキマバイトは企業の人手不足を解消できる? 業種別で聞いた結果
帝国データバンク(東京都港区)は、スポットワーク(スキマバイト)を請け負う「スポットワーカー」の活用について企業にアンケートを実施した。スポットワーカーの活用に興味があるかについて、「活用に前向き」な回答をした企業は38.1%だった。 【画像】スポットワーカーの活用に関する企業の意識 内訳は「すでに活用している」が8.3%、「活用を検討している」が5.3%、「検討はしていないが、興味はある」が24.5%だった。一方、「興味はない」と答えた企業は49.8%だった。 「活用に前向き」な回答をした企業からは、「最低賃金の上昇に加え新規人材の確保も容易ではないため、活用を検討している」(繊維・繊維製品・服飾品小売)といった声があったように、人手不足への対応が背景にある企業が多かった。他に「働き手の空き時間を利用できるので、社会全体の生産性が上がり、良いと考える」(専門サービス)などのコメントも聞かれた。 肯定的な声ばかりではなく、「スポットワーカーの活用は、さまざまな人間が入れ替わることで内部的な情報漏洩も考えられ検討段階にとどまっている」(旅館・ホテル)、「人手不足の解消には有効だと思うが、労働者の質が分からないため望んだ成果を得られないなどの懸念点がある」(不動産)など、興味はあるものの、リスク管理や採用ミスマッチへの不安から活用をためらう声も挙がった。 活用に「興味はない」と答えた企業からは「作業の正確性やスピードを担保することが難しい」(化学品製造)、「当社はメーカーであり、安全管理や品質管理の観点からスポットワーカーの活用は現実的ではない」(鉄鋼・非鉄・鉱業)など、品質の低下や作業効率の悪化を不安視する意見が多かった。他に「受け入れ・教育コスト、業務の分担など、スポットワーカーを受け入れるためのコストや労力がかかる」(飲食店)など、コストの発生に関する懸念の声も聞かれた。 スポットワーカーの活用に「前向き」な企業を業界別でみると、最も高かったのは「小売」(50.6%)で、全体(38.1%)より12.5ポイント高く、次いで「運輸・倉庫」(46.8%)が8.7ポイント上回った。 より細かい業種をみると、ガソリンスタンドなどを含む「専門商品小売」は活用に前向きな企業の割合が55.2%と突出して高かった。一方で、ソフト受託開発など「情報サービス」は23.7%と全体より14.4ポイントも下回り、「建設」(30.3%)も比較的低い割合だった。 企業からは「技術職なのでスポットワーカーでできることが少ない」(情報サービス)、「建築業は専門性が高い業種のため、活用は難しい」(建設)など、専門性を求められる技術職が多い業種では親和性が低いといった意見が複数挙がった。 帝国データバンクは「企業におけるスポットワーカーの活用は、自社業務との相性の見極めが欠かせないほか、費用・時間のコストおよびリスクへの対応など解決すべき課題がありそうだ。しかし、働き方の多様化と人手不足の深刻化により、スポットワークは多くの働き手と企業の有力な選択肢として期待される」とコメントした。 今回の調査は、インターネットで行った。期間は11月8~12日、有効回答企業数は1685社。
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