俳優・村上虹郎の初書籍『虹の刻』がついに発売! “怪物を生み出したい”と語る真意とは
映像監督兼写真家の山田智和とのタッグから生まれた雑誌連載の『虹の刻』が待望の書籍化! 又吉直樹をはじめ、山崎ナオコーラ、中村文則、俵万智、そしてKing Gnuの常田大希ら17人の作家・アーティストとの“異色の”コラボレーションが話題の1冊について、ライターの橋本倫史がインタビューした。 【もっと写真を見る】村上虹郎“ほぼ”独占インタビューをチェック!
“写真を撮られることには興味がない”
──村上虹郎さんの初めての書籍『虹の刻』が、12月24日(木)に発売されます。これは雑誌『フィガロジャポン』と同誌のウェブで同時連載されたものですが、この企画は虹郎さんから編集者の方に打診して始まったと伺いました。まずは企画が立ち上がった経緯をお話しください。 村上:『フィガロ』に話を持っていく前に、山田智和という人と一緒に撮影をしたんです。ヤマトモ(山田智和の愛称)は僕よりだいぶ先輩で、すごく大きな仕事をしている映像監督であり写真家なんですが、何度かお仕事をしたことがあって仲が良くて。あるとき、仕事とは関係なく写真を撮ろうという話になったんですけど、出来上がったものを見た彼が「これ、連載にしたくない?」と言い出したんです。最初はさらっと言い始めたことが、いつのまにかこんなに大きな企画になったという感じです。 ──そこで最初に撮影されたのが、今回の書籍に「第零章」として掲載されている写真ですね。そのとき、仕事とは関係なしに写真を撮ろうという話になったのは、何かきっかけがあったんですか? 村上:この連載を始める頃までは、僕自身も写真を撮る人だったんです。自分の親父も写真を撮るし、写真を撮る俳優の方々はほかにもたくさんいらっしゃって、それはそれですごく素敵だなと思ってますけど、やっぱり僕らは“撮られる”仕事だなと思うんです。写真を撮ると画角のこともわかるようになるし、どう撮られれば美しいかもわかるようになるんですが、わかり過ぎるのもつまんないなと思ってしまったんですよね。 ──仕上がりが見えてしまうと、飽きてしまう? 村上:考えてみると、写真を撮られることにはあんまり興味がないんです。写真家さんにはいろんな作風があって、それを見るのは楽しいんですけど、自分が撮られている瞬間に楽しいと思ったことはほぼなくて。この仕事をしていなかったら、正直「撮られたい」なんて思わなかった気がするんですよね。 ただ、作家の世界に飛び込むという行為自体は好きなんです。それは「撮られる」と同義語ではないから。だから、山田智和という作家性のある人が自分に興味を持ってくれて、記録に残すことをやりたいと思ってくれたのはありがたいなと思いましたね。