【球団別即戦力ルーキー診断:パ・リーグ】楽天・早川、日本ハム・伊藤の大卒投手は期待大。オリックスのオールドルーキーも要注目!?
2月1日のキャンプインを控えて、ルーキーの入寮と合同自主トレが話題となる季節となった。ファンが特に気になるのは、やはり今年のチーム成績を直接左右する“即戦力”ルーキーが誰かということではないだろうか。そこで、1年目から一軍の戦力となる可能性が高い選手を球団ごとに紹介していこう。 ▼ソフトバンク 中道佑哉(育成2位・投手・八戸学院大) 支配下で指名した5人全員が高校生で、チームの層の厚さを考えても1年目から戦力として期待している選手はいないと考えられる。強いて挙げるとすれば、育成2位の中道だろう。スピードは140キロ台前半だが独特のボールの角度があり、変化球で腕が振れるのも持ち味。大竹耕太郎(17年育成4位)のように、いきなり支配下を勝ち取る可能性もあるだろう。 ▼ロッテ 鈴木昭汰(1位・投手・法政大) 高校(常総学院)時代からまとまりのある投手だったが、大学4年時に一気にスピードアップを果たしたサウスポー。逆に制球力が落ちたようにも感じるが、ストレートを見せ球にして変化球で勝負できる投球術も持ち合わせている。左の本格派が不足しているチーム事情を考えると先発として期待したくなるが、プロで長いイニングを投げるとなるとまだまだ課題は多いだけに、まずはリリーフでの起用の方が持ち味は生きることになりそうだ。 ▼西武 渡部健人(1位・内野手・桐蔭横浜大) 大曲錬(5位・投手・福岡大準硬式) 渡部は4年秋に8本塁打、23打点の大活躍で1位指名に急浮上したスラッガー。パワーはもちろんだが、スイングに柔らかさがありボールを見る形も安定している。最初はプロの変化球に苦労しそうだが、慣れてくれば一軍でもホームランを量産する可能性も高い。投手で推したいのが5位の大曲だ。準硬式出身だが、スピードだけでなく変化球、コントロールも高レベル。4年春以降は硬式でも練習を重ねており、隠れた即戦力候補と言える。 ▼楽天 早川隆久(1位・投手・早稲田大) 楽天は上位4人でいずれも大学生、社会人の投手を獲得したが、完成度の高さはやはり早川が頭一つ抜けている印象だ。元々制球力には定評があったが、最終学年で驚くほどストレートが力強くなった。ボールの出所の見づらいフォームで、ストレートと変化球でフォームが変わらないのも大きな長所。体つきがまだ細く、体力面と4年春に痛めたという左肘の状態は少し気がかりだが、コンディションさえ万全なら1年目からローテーションに入るだけの実力は十分だ。 ▼日本ハム 伊藤大海(1位・投手・苫小牧駒沢大) 五十幡亮汰(2位・外野手・中央大) 今川優馬(6位・外野手・JFE東日本) 投手ではやはり1位の伊藤にかかる期待が大きい。コンスタントに150キロを超えるストレートだけでなく、多彩な変化球とコントロールも高レベルで兼ね備えており、現時点での総合力では早川を上回るものがある。チーム事情を考えるといきなりクローザーに抜擢される可能性も十分だ。野手では五十幡、今川と持ち味の異なる2人の外野手が面白い。五十幡はプロ野球の歴史の中でもナンバーワンと言える脚力の持ち主。肩の強さも申し分なく、代走、守備要員としていきなり一軍入りする可能性が高い。一方の今川は強打が魅力の右打者。少し癖の強いスイングだがレベルの高い社会人でも見事な成績を残しており、1年目から戦力となる可能性も高い。 ▼オリックス 阿部翔太(6位・投手・日本生命) 支配下指名6人のうち4人が高校生となったが、今年で29歳となるオールドルーキーの阿部に即戦力の期待がかかる。社会人3年目からエース格となり、大きな大会でも常に結果を残してきた。驚くようなスピードや必殺の変化球がないのは気がかりだが、大崩れしない安定感は見事である。先発、リリーフどちらでも力を発揮できるのも持ち味だ。年齢を考えても1年目から勝負の年となることは間違いないだろう。 文●西尾典文 【著者プロフィール】 にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。