偏差値40台でも早慶上理、GMARCHに続々合格 麗澤中、生徒を伸ばす“2つのカギ”とは
英語力検定スコアは全国平均上回る 麗澤中3年は高2レベルに到達
千葉県内の私立中学入試が終盤を迎える中、併設型中高一貫共学校の麗澤中学校(千葉県柏市)の入学試験が28日午後、同校で行われた。柵には麗澤大65期卒業生で東京2020パラリンピック車いすテニス男子シングル金メダリストの国枝慎吾選手を祝う写真入り横断幕が張られていた。(※コロナ対策のため受験生や保護者への声掛けは控え、社会的距離に留意して取材しています) 麗澤中は21日に第1回入試(募集定員55人)、25日に第2回入試(同50人)を行っておりこの日、第3回(同20人)を実施。JR常磐線(東京メトロ千代田線直通)の南柏駅から東武バスで5分ほど行くと住宅街の景色が一変。キャンパス周辺はうっそうとした森林に囲まれており構内にはゴルフクラブまで併設されている。自然の中を散策するとすがすがしい気分になる。 各大手進学塾が発表している麗澤中の偏差値(第1回AEコース)はSAPIX(サピックス)41、日能研48、四谷大塚52となっており、千葉県内最難関私立中である渋谷教育学園幕張中(1月22日第1回)の各64、69、70や日本テレビ系ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」で描かれた東京の御三家と比べると差は歴然だ。
しかし、同校が公表している20年度麗澤高校卒業生の進路状況を見ると、東大や京大合格者こそいないものの東工大、東京外大、大阪大、九州大、お茶の水女子大に各1人ずつ、私大では早大14人、慶応5人、上智大4人、東京理科大15人、GMARCHには計125人が合格を手にするという確かな実績を残している。一方、系列の麗澤大学合格者数はわずか7人。同高校生のほとんどが他大学への進学を目指していることがうかがえる。中高一貫の千葉日本大学第一高等学校の日大合格者数が254人に上っているのとは対照的だ。 22年度の募集定員はアドバンスト叡智コース50人、エッセンシャル叡智コース90人。1学年計140人という少人数の麗澤中ではいったいどのような教育が行われているのだろうか。麗澤中高の公式ホームページを見るとユニークな取り組みの数々が見つかる。キーワードは「言語技術」と「英語教育」だ。 言語技術とは聞きなれない言葉だが、要は「聞く・話す・読む・書く」からなる4技能の向上を目指しているようだ。同校HPでは「あらゆる学びに必要な力が聞く力、読む力、話す力、書く力。言語技術は、こうした力を体系的に身につけていくことで、コミュニケーション力と情報処理能力を高めていきます」と説明し、相手の話を真摯に聞く力や文章や資料をじっくりと観察して分析力を高め、さまざまな情報を統合して意図や考えを解釈していくlogical thinking=論理的思考力、critical thinking=批判的思考力を重視する、とアピールしている。 もう一方の英語教育に関しても、この言語技術がベースになっている。「麗澤が目指す英語力は、コミュニケーションツールとして英語を使いこなす力」(同校HP)と位置付けており、日本人教員のほか6人の専任ネイティブスピーカーが生徒の4技能を磨いていく。ネイティブスピーカーによる英会話の授業は少人数制をとることで生徒の発話量を増やし、英語を積極的に使う機会を設けている。 そのような英語教育によって英語力検定GTECのスコアは全国の学年平均を大きく上回る成績を残しており、麗澤中3年生は高校2年生レベルに到達するという。同校HPでも「麗澤で身につける英語力は、受験学力としても十分な成果に結びついています」と誇らしげだ。