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女性アーティストの作品のみを収蔵・展示。ボルチモア美術館の「2020 Vision」とは?

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美術手帖

 アメリカで女性が参政権を認められてから100周年を記念し、メリーランド州にあるボルチモア美術館が、女性アーティストに捧ぐプログラム「2020 Vision」を実施している。  同館は2020年、250万ドル(約2億6000万円)以上の予算を投じ、女性アーティストによるすべてのジャンルや媒体の作品を購入。また、19年秋からは、女性アーティストを紹介する16の個展や7のグループ展などを行っている。  このプログラムについて、同館のドロシー・ワグナー・ワリス・ディレクター、クリストファー・ベッドフォードはこうコメントしている。「『2020 Vision』は、並外れた才能を持つ女性アーティストの声やナラティブ、そして創造的革新を認識するのに役立っている。この取り組みの目標は、視覚芸術における女性の貢献にふさわしい学術的な検討、対話、および世間の称賛を与えることだ」。  アンリ・マティスの作品を1000点以上と世界でもっとも多く所蔵していることで知られている同館には、女性アーティストとデザイナーによる作品は約3800点が収蔵されているが、それは9万5000点の所蔵品のなかでわずか4パーセントにすぎない。  この状況に対し、ベッドフォードはこう続けている。「ボルチモア美術館は長年にわたり女性の作品を積極的に収集してきた。多くの女性リーダーのおかげもあり、何世紀にもわたる不均衡を是正し、女性の芸術家や有色人種の芸術家が私たちのコレクションや芸術史の理解において、より多くの存在を占めるようにしている」。  昨年10月、エリザベス・キャトレット、マリア・マルティネス、ジョージア・オキーフなど、キュービズムから抽象表現主義まで20世紀の主要な美術運動に貢献した女性アーティストの作品を集めた展覧会「By Their Creative Force: American Women Modernists」を皮切りに、本プログラムはスタートした。  3月からは、南アフリカのアーティスト、キャンディス・ブレイツによる映像作品をはじめ、バレリー・メイナード、ザッカリー・ドラッカー、シャン・ウォーレスなどの個展が開催される。また9月には、アメリカの「第二世代」の抽象表現主義の画家であるジョアン・ミッチェルの大規模な回顧展が開催される予定だ。  アメリカの科学雑誌『PLOS ONE』(プロス・ワン)が昨年行った調査によると、アメリカを代表する18の美術館の所蔵品は、白人アーティストが85パーセント、男性アーティストが87パーセントを占めている。美術館分野における人種とジェンダーの平等を実現するため、アメリカの美術館では、女性や有色人種のアーティストを新規収蔵するなどコレクションの整理を行っている館も見られる。ボルチモア美術館の今回の取り組みは、どのような成果と効果をもたらすのか。注目したい。

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