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コロナ後も「ライブで食える」ためには? 音楽評論家・富澤一誠氏が緊急警告「配信ライブで個性を出すしかない」

配信

夕刊フジ

 国民的ヒット曲が生まれない、配信に押されてCDが売れない。そこに泣きっ面に蜂の“コロナ禍”でアーティストたちが音楽危機にあえいでいる。打開策はあるのか。音楽評論家の富澤一誠氏が緊急警告を寄せた。  音楽でメシは食えない時代がやってきた。この現実を真摯(しんし)に受け止めて、初めてピンチをチャンスにすることができるのだ。  ライブエンタメ・音楽業界への自粛要請が解除され、ライブハウスや通常コンサートの再開が始まろうとしている。しかし、予想以上に高い壁が待ちかまえている。  というのは、再開にあたってはそれなりの対策を講じなければならないからだ。通常のコンサートでは3密を避けるために、1席おきに客席を封印して半分の観客動員数に収めなければならない。単純に計算すると、総入場料が半分になってしまうが、これを何かでカバーしないと赤字になってしまう。そこでライブを撮って配信して、その料金で補填(ほてん)しなければならないようだ。  売れているアーティストはいい。サザンオールスターズのように、42回目のデビュー記念ライブ〈サザンオールスターズ特別ライブ2020〉(横浜アリーナ、6月25日)を、たとえ無観客配信ライブでしても、横浜アリーナの観客動員数をはるかに上まわる有料配信数が見込まれるからだ。  しかし、現実はそんな恵まれたアーティストは3割いるかどうかだ。残りの7割方のほとんどのアーティストは、ライブハウスでライブを重ね、それこそ日銭を稼いで食べているのが現実である。  その意味では、ライブハウスが閉鎖されたということは彼らにとっては死活問題だったのだ。それが再開でなんとかと思いきや、高い壁が立ちはだかってきた。  ライブハウスは立ち見で100人から300人を収容できる規模のところが多い。椅子席にするとその半分ぐらい。50席から150席ほど。再開後は、3密を避けるために半分になるので、さらにキャパシティは少なくなり数席から100席未満となる計算だ。  これではチャージバックを含めてアーティストのギャラの取り分は数万円から多くて20万~30万円か。その中にはバックアップミュージシャンのギャラも含まれている。はっきり言ってこれでは食えない。足りない分は「配信ライブ」で稼ぐしかない。とはいえ人気アーティストのように浮動票は当てにできない。加えて、配信ライブでは一体感や熱気というライブハウスの魅力が出ない。  だとしたら配信ライブならではの「私だけのプレミアムライブ感覚」を出すしかない。コロナ後のライブとは? そこに光明を見いだすしかない。音楽でメシが食えるか? 答えは自分自身の中にある。  ■音楽が「売れなくなった」原因を分析  東大中退後、20歳から49年間にわたり音楽評論一筋の富澤氏。最新刊『音楽でメシが食えるか?』(言視舎)では、日本のポピュラー音楽の歴史を総括しながら、「売れなくなった」原因を多角的に分析。吉田拓郎が「イメージの詩」で、「古い船」をいま動かせるのは“新しい水夫”だと歌ったように、時代を自在にサーフィンできるビジネスセンスを提唱している。

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