「一升瓶ホルダー」がSNSで話題 コロナ禍のアウトドアに最適
コロナ禍で一気に火が付いたアウトドアブーム。これからの季節、密を避けつつ花見やバーベキューを楽しむ人も多そうだ。一升瓶はそんな集まりを盛り上げるアイテムだが、一升瓶を更に引き立てる「一升瓶ホルダー」が人気を集めている。かさばって持ち運びにくい一升瓶を細幅の織物テープで固定し、肩から掛けられるようにした。これで日本酒を持参すれば、宴会の注目を集めること間違いなしだ。 一升瓶ホルダーはポリプロピレンの織物テープ製。静岡県榛原郡吉田町の中小企業「本橋テープ」が開発した。 「イメージは絵画を引き立てる額縁です。一升瓶のデザインを邪魔しないよう細幅のテープで作りました」と、開発を担当した同社クリエーティブグループサブマネジャーの大石卓哉氏は説明する。肩から掛けられ、ちょうどいい位置に取っ手がついており、グラスへお酒をつぎやすくもなっている。 この一升瓶ホルダー、大石氏の「ひいきのロックバンドに一升瓶を差し入れたい、あわよくばメンバーと飲みたい」という思いから製作された。 同社はカバンの持ち手やヘルメットの顎ひもなどに使われる織物テープを製造してきた。メーカー相手のBtoBビジネスなため、一般の消費者にはその名をほとんど知られていない。 「そこでBtoCの商品開発を始めました。一升瓶ホルダーもその流れで生まれたものです」(大石氏) ところで大石氏は、高校時代からロックバンドBRAHMAN(ブラフマン)の大ファン。BRAHMANのアコースティックユニット、OAUがオーガナイザーを務めるキャンプをテーマにしたフェスが御殿場市で開催されると知った。 「これは一般の人にアピールするいい機会だと考え、会社で作ったアウトドア用品などで出店することにしました。2015年のことです」
大ファンのロックバンドに差し入れてきた
それまでも毎年「あわよくば」と一升瓶を差し入れていたが、ある年、ボーカルのTOSHI-LOW(トシロウ)に困った顔をされたことがあった。 「一升瓶で手が塞がると、他のファンと握手したり、プレゼントを受け取ったりできなくなるからです」 お酒は渡したい、でも困らせたくはない。そこで思いついたのが、一升瓶ホルダーだった。 「翌年、ホルダーに装着した一升瓶を渡したら、『バカヤロウ』と言われました(笑い)。でもステージ上に持参してくれて、注目されました」 こうして18年、まずはフェス会場で売り出された一升瓶ホルダー。SNSでバズるなどして人気商品へと成長していった。 製造には技術が必要で手間がかかり、月に200個ほどしか生産できないが、作っても作っても在庫ができない状態が続いているという。 価格は3300円(税込み)。楽天など通販サイトのほか、一部アウトドアショップで購入できる。 3密回避の野外宴会で目立つためなら、決して高くはない買い物ではないだろうか。 (取材・文=五嶋正風)