高畑充希「にじいろカルテ」は好スタート “ヒットの方程式”を敢えて無視したテレ朝の狙い
高畑充希(29)が主演しているテレビ朝日の新連続ドラマ「にじいろカルテ」(木曜午後9時)の視聴率が好調だ。CM枠が高く売れる若者向けの連ドラが幅を利かせる中、全世代に向けた作品である。全世代向け連ドラと若者向け連ドラ。生き残るのはどっちだ(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。
「にじいろカルテ」の主人公・紅野真空(高畑)は、僻地医療に取り組みつつ自らも難病と闘う内科医。ほのぼのとしたタッチながら、共生の大切さなどを静かに訴える骨太の作品だ。 見る側の性別や世代を限定した連ドラではない。以前から全年代に向けた番組づくりを目指しているテレ朝らしい作品。おそらくNHKを除いた他局は作れないし、作らないだろう。 一方、民放のリーディングカンパニーである日本テレビは13歳から49歳の視聴者をコアターゲットとして重視している。両局の性格の違いは連ドラの視聴率にどう表れているのだろう。 1月期のGP帯(午後7時~同11時)の連ドラで、条件が近い「にじいろカルテ」と「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(水曜午後10時)を比べてみると、「にじいろカルテ」の第1話は世帯視聴率が12・1%で個人視聴率は6・6%。1週間早く始まった「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」の第2話の世帯平均視聴率は8・8%で個人視聴率は4・9%。 昨年10月期はどうだったかというと、テレ朝「七人の秘書」の全話平均世帯視聴率は約14・5%で、日テレ「#リモラブ」は同約7・8%。同7月期はテレ朝「未解決の女」の全話平均世帯視聴率が約12・6%、日テレ「私たちはどうかしている」は約9・0%だった。 なぜ、日テレが13歳から49歳の視聴者をコアターゲットにしているのかというと、若い人が見ていたほうが、CMが高く売れるから。若い人のほうが物を買い、レジャーに興じるためである。 なので、最近の日テレのGP帯の連ドラは若い人が好みそうなラブコメを含めた恋愛ドラマ、アイドルが主演するアクション作品が目立つ。68歳の水谷豊が主演する「相棒」を金看板とするテレ朝とは対象的だ。 では、どちらの局の連ドラのほうが見られているかというと、最近の日テレの連ドラには目立ったヒット作がない。情報番組やバラエティーとは違い、連ドラは視聴者の世代を絞り込んだ作品を成功させるのが難しいのではないか。 「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」の場合、メインターゲットの若い人にも歓迎されているとは言い切れないようだ。若い人たちが書き込んだと思しきツイッター文言には作品への遠慮のない批判が並んでいる。やはり連ドラは視聴者の世代を絞り込むのが難しい気がしてならない。