“見送り”から一転 愛知県「まん延防止」要請の舞台裏 大村知事が描いた“シナリオ”とは?
愛知・大村知事の発言一変 「まん延防止」要請は“シナリオ”通り?
愛知県の大村秀章知事は18日、政府に対し「まん延防止等重点措置」の適用を要請した。数日前まで「ただちに要請はしない」としていた大村知事が、発言を一変させた背景には何があるのか。もちろん爆発的な感染者の増加もあるのだが、取材を進めると「知事のシナリオ通りでは」との声が聞こえてきた。
直前まで「まん延防止」の要請を見送り
今月13日、愛知県では去年9月10日以来、約4か月ぶりに感染者が1000人を上回った。その日の大村知事の会見は「まん延防止等重点措置」を政府に要請する方針が出されるのではないかと注目された。ところが。 ■大村知事 「入院患者がぐっと増えているわけではない。ただちに要請はしない」 愛知県では感染者のほとんどが無症状か軽症で、入院が必要な患者は少なかったため、病床使用率は低水準に保たれていた。そのため大村知事は「まん延防止」の要請はまだ早いという姿勢だった。 大村県政に詳しい議員関係者は当時、こう話していた。 「これまでと違い、『まん延防止』の情報が入ってこない。要請に向けた“匂い”がまったくしない」
三重県知事に先を越され大村知事の胸の内…頭よぎる?経済界の存在
ところが大村知事の見送り発言から2日後、事態が動いた。15日、三重県の一見知事が東海3県で最も早く「まん延防止等重点措置」を要請する方針を示したのだ。 この動きについて、愛知県関係者はこう解釈する。 「同じく感染者が増加傾向にある愛知県よりも先に要請の方針を示したことについて、大村知事は好意的には受け取らなかったのではないか」 大村知事は、感染対策に積極的だ。特にオミクロン株の広がりを受け、警戒を強めていた。ただ一方で、知事には配慮しなければならない業界があった。経済界だ。 「措置が要請されれば飲食店には時短営業が呼び掛けられるなど、県内の経済界にとっては再び打撃を受ける」(議員関係者) 経済界もすんなりと受け入れられる要請に向けて、考えをめぐらせていたのだろうか。2日後、“シナリオ”を目の当たりにすることになった。