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温泉旅館がサテライトオフィスに!?コロナ後を見据えた斬新な挑戦

配信

現代ビジネス

---------- 新型コロナウイルス感染拡大の影響で宿泊客が減少し、観光業は危機に瀕しています。そんな中、全国各地では若手旅館経営者によるアフターコロナを見据えた挑戦的な取り組みが進められています。旅館をサテライトオフィスにする嬉野温泉の試みや、草津温泉の「三密」を避ける素泊まりスタイル……温泉エッセイスト・山崎まゆみさんがレポートします。 ---------- 【写真】中国人観光客が、日本の電車・バスに「感動している」意外なワケ

温泉旅館がサテライトオフィスに

 オンラインで温泉宿を取材することにも慣れてきたが、Zoomの画面に映し出された光景には驚かされた。  温泉旅館の一室――。  12畳ほどの広さの7割を大型テーブルが占めている。天井から洒落た白い紐が垂れ下がっていて、飾りかと思えば、電源を取るためのコードだった。椅子が6脚置かれ、電源設備も整い、快適に仕事ができる環境だ。  正面の壁には40型のテレビが掲げられてあり、東京本社のオフィスと繋ぐことができる。隣にはマットレスを2段重ねた上に枕が置かれていて、これはレストルーム。  デスクワークの手を止めれば、外の緑が目に入る。窓を開ければ清流からの涼やかな音が聞こえる。もちろん、温泉は入り放題――。  え、何なの? ? ここは!?   「癒しであり・オフ」をもたらす温泉旅館と、「ビジネスであり・オン」の空間であるオフィスという相反する要素が一部屋に詰まった違和感――。  しかしこの違和感は、実に心地がいい。率直な感想を言えば、私はここで仕事がしたくなった。物書きの身としては、ここで原稿を書けばさぞかし生産性が向上するだろう。  ここは佐賀県嬉野温泉和多屋別荘の1室にある「サテライトオフィス」。  月額17万5000円で企業が借りている。

佐賀県と嬉野市が支援

 旅館の客室を月額17万5000円で借りられる背景には、自治体の支援がある。  3月5日に佐賀県嬉野市の村上大祐市長は、東京に本社を置くウェブ制作会社で、プロモーションも請け負うイノベーションパートナーズと初めて契約を結んだことを発表した。  和多屋別荘が貸し出す部屋は通常、1泊1人、1万~1万5000円相当で、月に100万を稼ぐ。これを月額70万で貸し出すのだから、思い切っている。  賃貸料の70万のうち、半額の35万は佐賀県が補助。さらに17万5000円を嬉野市が負担することにより、借りる企業の実質的な負担額は17万5000円となる仕組みだ。この他、嬉野市に住民票を置く3人を雇用することが条件。  企業は月に17万5000円の家賃を払えば、旅館一部屋と美肌の湯に入り放題という、格安でウマイ話のように見える。  いまや全国の温泉旅館から問い合わせがあり、近隣の自治体が視察に来る。  冒頭のサテライトオフィスは、4月3日に10年契約で入居した株式会社イノベーションパートナーズのもの。自費300万をかけ、和室を使いやすいオフィスに改装した。畳をフローリングに変更し、壁に大型テレビを掛け、バスルームをレストルームに改修。このシンプルで無駄のないオフィスは「スマートオフィス」と呼ばれている。  東京からのスタッフは、和多屋別荘の社員寮に月2万で入った。食事は別料金。旅館の大浴場は入り放題である。

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