EUの戦略「報復ではなく交渉」-トランプ氏の関税念頭にECB総裁
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁はトランプ次期米大統領が関税強化を打ち出していることを念頭に、欧州連合(EU)は即座に対抗措置を講じるのではなく、貿易関税の可能性について米国側と話し合う方が好ましいとの考えを示した。
同総裁は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に28日掲載されたインタビューで、EUの戦略は「報復ではなく交渉」だと強調し、「米国から特定の品目を購入することを申し出て、協議のテーブルに着く用意があることを示し、協力できる点がないか検討」し得ると指摘した。
ラガルド総裁は本格的な貿易戦争の悪影響について、以前から繰り返し警告。ECBのウェブサイトに掲載された発言記録によると、同総裁は「これは、誰も本当の勝者とならない仕返しのプロセスにつながる純粋な報復戦略よりも良いシナリオだ」と述べた。
「貿易戦争を検討し始めると、すぐにエスカレートし、私の見解では差し引きでマイナス」だと警鐘を鳴らし、「これは米国にも欧州にも、誰にとっても利益にならず、GDP(国内総生産)のグローバルな減少を招く」と語った。
ラガルド総裁は、トランプ氏が主張する関税が実際に導入された場合の影響を分析するにはまだ早過ぎるとしながらも、「短期的には少しインフレ傾向になるかもしれない」との見通しを示した。
原題:ECB’s Lagarde Urges Europe to Negotiate, Not Retaliate on Trade (抜粋)
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Mark Schroers