感染拡大でも続く政治家の宴会や会食、食い違うメッセージ… 尾身茂会長がリーダーたちに願うこと
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府の分科会は、感染拡大地域での忘年会や新年会の見送りを呼びかけている。そんな中で、複数の政治家が大人数で会食していたことが明らかとなっている。こうした政治家の言動に新型コロナ分科会長を務める尾身茂さんは、何を思うのか。そして政治家はどういうメッセージを出すべきか。尾身会長がBuzzFeed Newsの単独インタビューで語った。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】 【動画】 「これ以上感染が続くと…」尾身会長が今年最後に伝えたいメッセージ
「ここまでくると協力ベースだけでは難しい」
ーー飲食の場面に注意が必要であるとし、首都圏など感染拡大地域では忘年会や新年会を見送るよう提言しています。しかし、飲食店など事業者への経済的支援は十分だと言えるのでしょうか。政府の対応は後手後手に回っているようにも見えますが、どう見ていますか。 コロナ疲れと言えばいいのか、コロナ慣れと言えばいいのか、皆さん辟易としていますよね。以前に比べれば、協力が得られにくくなっていることは事実です。 そうした現実は、我々も、そして国も認めなくてはいけません。現実を直視しないままに、理想論で何かを言ってもダメですから。 事業者への経済的支援については、すでに国が取り組んでいるのも事実です。けれども、不十分であると感じている事業者も多くいると聞いています。 ここまでくると、協力ベースだけでは難しいという現実があります。 いくらお願いをしたところで、事業者はその事業を守らなくてはいけない。死活問題ですよ。ですから、感染防止対策に貢献したい気持ちがあっても、それだけをやれば明日から生活できなくなってしまう。 そのリアリティも、認めなくてはいけません。
国や自治体へお願いしたいこと
一方で、政府や自治体が一体感を持ったメッセージを出すことができていないという問題もあると思います。 人々にとっては、リーダーが何を言うのかということは非常に重要ですよね。8割もしくは9割は同じことを言っていたとしても、残り1割の部分で食い違うことを言っているとなると、受け取る側はその点が気になってしまう。 そうした部分にマスコミも関心を示すことが多い傾向があるかもしれません。 一部分でも食い違うメッセージを発信していると、国民のことをしっかりと考えているのか、我々も真剣にならなくても良いのではないかというイメージが広がってしまいます。 そうした傾向を防ぐ必要があります。我々が何回も自治体や政府に強いリーダーシップを発揮してくれるよう求めているのは、そのためです。 特措法はまだ改正されていませんが、「法改正をする意気込みで取り組むから、我々も汗をかいて、できる限りのことをやるから、どうか皆さん」と事業者へ強くメッセージを打ち出せば、また状況は変わってくるかもしれない。 ですから我々は、国や自治体のリーダーにお願いをしているのです。 国民のためのリーダー、都民・道民・県民・府民のためのリーダーですよね。 国民にこれだけ、努力をお願いするのなら…お互い立場の違いや意見の違いなどもあると思いますが、色々なことを乗り越えて、さらなるリーダーシップを発揮して欲しい。それが私の考えです。 そうしたリーダーシップを発揮してもらわなければ、一般市民の努力だけでどうにかすることは難しい。市民ひとりひとりが感染対策へ協力しやすくなるために、国や都道府県は環境づくりに取り組むべきです。