いびきは循環器系の疾患を引き起こす可能性があるという事実、睡眠中の「変な呼吸」に要注意
眠っているときに酸素不足を起こす「睡眠時無呼吸症候群」。その予兆は、いびきをかくこととも言われています。だとしたら、いびきの種類や音から疾患リスクを判定することもできそうですが、はたして、この考え方は合っているのでしょうか。「吉祥寺睡眠メディカルクリニック」の服部先生に伺ってみました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
種類や音は問わず、「いびき」そのものがリスク
編集部: いびきって、何かの病気のサインですか? 服部先生: 絶対とは限らないですが、睡眠時無呼吸症候群の兆候が出ていると言えるでしょう。睡眠時無呼吸症候群を診断する目安の1つに、「1時間のうち、5回以上の無呼吸か低呼吸があること」という要件があります。そして、いびきは低呼吸の一種とみなされています。 編集部: 睡眠時無呼吸症候群だと、何がいけないのでしょうか? 服部先生: 症例研究から、「脳・心血管系障害の合併率が高い」ことが判明しています。例えば、睡眠時無呼吸症候群の人は、脳卒中なら約4倍、心筋梗塞なら約2~3倍かかりやすいということです。また、自覚としてよく言われるのは「日中の眠気やだるさ」です。ただし、実際のところは睡眠時無呼吸症候群と診断された患者さんの半数くらいしか感じていないようです。 編集部: 寝ているときの呼吸が循環器に影響しているのですか? 服部先生: そうです。睡眠時無呼吸症候群による酸素不足が起きると、心拍出量の増加によって酸素を補おうとするため、血圧は上昇します。起きているとき、意識的に息を止めると心拍数が上がってきますよね。簡単に言えば、これと同じことが睡眠中にも起きているということです。 編集部: そこで本題です。いびきの種類は関係しているのでしょうか? 服部先生: 「ガーガー、ゴーゴー」という音のするいびきと、突然「カッ」という音と共に呼吸を再開するようないびきがあるものの、「いびきの種類は睡眠時無呼吸症候群の指標にならない」と考えています。いびきの種類ではなく、「睡眠中における血中の酸素濃度」が問題になってきます。