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『ハイキュー!!』黒尾と研磨、幼なじみの絆をバレーボールが強くした

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リアルサウンド

 高校生たちの手に汗握るバレーボールの試合展開だけではなく、それぞれの友情やライバル関係にも胸が熱くなる『ハイキュー!!』。 【画像】音駒高校が表紙を飾った34巻書影  烏野高校と長らくライバル高校である音駒高校。そのキャプテン黒尾鉄朗と孤爪研磨は幼なじみだ。 「“人見知り”“引っ込み思案”今皆に聞けば全員おれの事って言うと思う」 「クロの方がヒドかったって言っても多分誰も信じない」 「本人も多分覚えてない」  本人が覚えてないことも研磨は覚えている。それほど研磨と黒尾は長く密な付き合いなのだ。 ■研磨と出会わなかったら黒尾はバレーを続けていただろうか  出会いは黒尾が8歳、研磨が7歳のときだった。研磨の家の隣に越してきた黒尾。最初は年が近いというだけで遊んでいた(大人に遊ばされていたとも言う)。主に研磨の家で2人でゲームをしていたが、あまり意思表示をしない黒尾に研磨がちょっとだけ気を遣う。 「…いっつもコレやってるけど なんかやりたいやつ ないの」  研磨の言葉に黒尾はおずおずとバレーボールを持ってくる。一緒に対人練習をすると黒尾は途端にイキイキとした様子を見せる。素人である自分とやっていてもつまらないだろうから、バレーができる人とやればと研磨は勧めるが、黒尾は「つまんなくない」と激しく首を横に振る。引っ越す前はチームに入っていたが、なかなか新しい土地でチームに入る勇気が湧かない。  そんな黒尾に研磨は「新しいトコ ヤだよね。わかる」と理解を示す。人見知りが新しい場所に飛び込んでいくときのエネルギー消費はとてつもない。似ているから黒尾の気持ちが分かる。だから研磨は黒尾のバレーボールチーム見学に付き合った。そこで音駒高校バレーボール部の猫又監督に出会う。 「クロがただのパリピ風野郎なら一緒にやってない」  研磨はそう言うが、それは黒尾の悩みや葛藤を知っているから。そして黒尾が自分のことを理解してくれていることも知っているからだ。幼少期、研磨の父が提案した「たまに研磨もサッカー連れて行ってくれないかな」を黒尾は断っている。 「研磨は行きたくないと思う」 「俺『行きたくない』のもよくわかる。ちょっとでも行きたそうだったら絶対連れてくけど研磨はそうじゃない」 「でも研磨は好きな事なら一生懸命やるから大丈夫」  研磨にあるのは、黒尾は自分を信頼してくれているという安心感。大人になってずっと一緒にいるわけじゃなくなっても、根っこの部分で2人は繋がっている。 ■黒尾が教えたバレーボールが研磨の世界を広げた  インドア派で目立つのが嫌いな研磨。しかし、バレーボールは高校まで続け全国大会にも出場した。中学までは試合のあとや厳しい練習のあとは熱を出すことがあった。 「引きずり込んだ身としては多少罪悪感があってですね」  そう語る黒尾。研磨も「一応、クロに申し訳ないってのはなくもなかった」と言う。しかし、続けられたのは黒尾に気を遣っていただけではない。続ける絶対的理由もないけど辞める理由もない。たまたま続いただけだと語っていた。しかし、春高の試合で研磨の「負けたくない」という気持ちが表現されるようになっていく。「負けたくない」というより「攻略したい」という気持ちかもしれない。目の前のチームを分析し、どうすれば勝てるのか組み立てていく。日向との対戦にも前向きなのは「翔陽はいつも新しい」から。攻略したと思ったら、新しいものを繰り出してくる。ゲーマーからしてみたらたまらない対戦相手なのだ。そんな対戦相手と出会い、研磨も思いっきりバレーボールをプレーすることができた。  烏野高校との対戦後。研磨は「はぁ~~~面白かった!」と心から言う。そして黒尾に一言こう告げる「クロ おれにバレーボールを教えてくれてありがとう」  研磨をずっと自分に付き合わせてしまったかもしれないと思っていた黒尾からしてみれば、こんなことを言われたら泣かないわけがない。もしかしたら、黒尾が「日本バレーボール協会競技普及事業部」に所属するようになったのはここから繋がっているのではないだろうか。そして、研磨がブラジルでプレーをする日向のスポンサーとなったのも、日向と友人であるというのはもちろんのこと、黒尾の影響が少しばかりあるのではないか……と考えてしまう。 ■言葉の端々から感じられる密な距離感  春高、準々決勝。高熱でリタイアした日向の元に研磨が訪れるシーンがある。 「ともだちを励ましに来た」  そう言って試合の続きが観られるようにとタブレットを渡す。研磨の優しさや思いやりにグッと来るが、42巻のおまけでは余計のことをしたのではないかと逡巡する研磨の様子が描かれていた。そんな研磨に黒尾は穏やかに言う。 「しんどい時はともだちの顔見るだけで救われるものよ」  研磨は黒尾に何も言わずに日向の元へ行ったのだろう。でも、黒尾は研磨がどこへ行き何をしてきたか想像がついていた。そして研磨も黒尾が察していることに驚きもしない。分かっていることは当たり前で、黒尾もまた自分の推測が外れているとも思わない。  大人になってからも、2人の交流があることは会話からわかる。いて当たり前なんだろうし、離れていても一番の理解者だということはきっと変わらない。違う道を歩んでも、お互いに「(クロなら)(研磨なら)何があっても大丈夫」と思っているだろう。

ふくだりょうこ

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