ヘッドレストのレストは休憩の意味ではなかった! 正しい調整をしないと事故の際に「むち打ち」の可能性が大幅アップ
正しい調整をして万が一に備えよう
じつはこのシート差し込み式のへッドレストは、自分で高さを正しい位置に調整しておかないと、万が一の衝突事故の際に安全性能がうまく発揮されない可能性があることをご存じでしょうか。 交通事故総合分析センター(イタルダ)では、衝突の際に瞬時にヘッドレストが正しい位置に自動で調整されるアクティブヘッドレストが装備されていた場合と、装備されていなかった(つまり正しい位置ではなかった可能性が高い)場合で、2000年から2004年の間に起こった760件の追突事故において、運転者がむち打ち症を発症したかどうかを調査。その結果、アクティブヘッドレストありのほうは発症しなかった割合が16.7%、なしのほうは7.4%と明らかに差がついたことがわかっています。 では、へッドレストの正しい位置とはどこなのでしょうか。シートに深く腰掛け、背もたれに身体を密着させた際に、自分の頭頂とへッドレストの上部が水平(同じ高さ)にくるのが正しい位置です。もし、長身の方で自分の頭のほうが上に出てしまう場合には、できる限りへッドレストレイントの高さを上げ、「頭を後ろに傾けたときにヘッドレストの上部に乗り上げてしまうことがないような高さ」かつ、 「車両前方に、つまり、頭の近くにくるように」というふたつのポイントを意識しましょう。 もし、正しい位置に調整していなかった場合、追突事故が起こってしまったらどうなるのか。茨城県つくば市周辺でイタルダが独自に調査した例によれば、右折待ちをしているところに後ろから追突された女性は、ヘッドレストが低い位置のままだったため、全治14日間のむち打ち症と腰椎捻挫を負ったそうです。 ヘッドレストは決して頭を休める枕のようなものではなく、頭を守ってくれる安全装置であるということをしっかり認識して、走り出す前に乗員全員が正しい位置に調整することが大切ですね。
まるも亜希子