パラグアイ出身の多言語話者、田中ロベルト秀一さんがJICA緒方研究所に=移住者の現地適合など研究
フランスとカナダで社会科学を学ぶ
国際的な開発課題研究を行うJICA緒方研究所(所在地東京)に11月1日、田中ロベルト秀一さん(28歳・3世)が研究員として着任した。着任前の9月末、出身地のパラグアイに帰省した折、ブラジルにも訪れ、本編集部で研究活動に対する意気込みを語った。 アスンシオン出身の田中さんは、日本人の父親と日系パラグアイ2世の母親を持つ。母親とはスペイン語、父親とは日本語で会話してきたという。 田中さんは、パラグアイで義務教育を受けた後、フランスとカナダで、社会科学を学んだ。その後、フランスの大学院に進学し、パラグアイの政治について研究を行った。 元々、国家間の外交関係に興味があった田中さんは外交について学んでいくうち、外交の中心には移住があることが分かったという。 博士号取得後、更に研究を続けたいと思い、一橋大学大学院法学研究科で、戦後の日本外交の視点から移住政策について研究することを決めた。この時、初めて日系人に関する研究を始めた。 研究を進めていく中で、戦後の日本は、南米のみならず、カンボジアやエチオピア、ポルトガル語圏アフリカなど様々な国に日本人を送る政策をとろうとしていたことが分かったという。日本政府が実際に移住協定を結んだのは、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジル。 今後、田中さんは同研究所で主に、移住者やその子弟がどのように現地社会と適合してきたのか、また貢献してきたかを研究するという。田中さんは「苦労して現地に溶け込んだ多くの日系人のことを世に知ってもらいたい。祖父母らが頑張ったという事実は将来を担う若者へのメッセージになると思います。私の研究が日本と移住先国のより良い関係構築のための参考材料になるよう頑張っていきたい」と意気込みを語った。 田中さんのインタビュー動画はこちらからどうぞ。