世界王者マリニンに鍵山、佐藤はどこまで迫れるか GPファイナル
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ上位6人で争うGPファイナル(フランス・グルノーブル)で、男子は世界王者のイリア・マリニン選手(米国)が鍵山優真選手(オリエンタルバイオ・中京大)、佐藤駿選手(エームサービス・明大)の前に立ちはだかる。5日の公式練習でも好調ぶりを見せつけたマリニン選手に、日本男子2人はどこまで迫ることができるか。 【写真まとめ】フィギュアGPファイナル 男子公式練習 5日の公式練習でマリニン選手は、序盤こそジャンプを跳ばずに氷の感触を確かめる程度だったが、時間がたつにつれ1回転からアクセルを除く5種類のジャンプを跳び始めた。3回転まで回転を増やすと、そこからはギアをもう一段階上げ、回転のピッチが速い4回転ジャンプを次々と披露。最後は世界で自身のみが成功しているクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を4連続で降りた。 結局、アクセルを含む全6種類の4回転ジャンプを跳んだ。「クワッドゴッド(4回転の神)」の異名を持つ王者の面目躍如のような練習となった。 今年3月の世界選手権で史上初の4回転6本を成功させて初優勝したマリニン選手は今季、ショートプログラム(SP)、フリー、合計でいずれも世界最高をマークしている。だが、ここまでフリーでも最大4本の4回転ジャンプしか跳んでおらず、余力を残している様子がうかがえる。現地での練習後、ジャンプ構成や4回転半ジャンプを組み込むかについては「お楽しみに」と言わんばかりの表情で「サプライズだよ」と語った。 優勝候補の筆頭であることには変わりない。今季世界2位の合計300・09点を出している鍵山選手は「イリア選手にどこまで近づけるかを今大会で知っておきたい」と意気込みを語る。今大会はまず己の滑りに集中し、SP、フリーをミス無くそろえることを目標に臨んでいる。「そうしないとイリア選手に一歩も追いつけないままになってしまう」と将来的に超えていくことを目指しているからこそ、危機感も口にした。 佐藤選手は練習中にマリニン選手の動きを観察する場面があった。「ルッツやフリップ、全種類の4回転を本当にきれいに跳んでいて、僕も加点がつくようなジャンプが跳べたらよいなと思って見ていました」と語り、刺激を受けた様子だった。 今季合計300点台の大台を超えたのはマリニン選手と鍵山選手のみ。とはいえ、佐藤選手は今年9月のロンバルディア杯で自己ベストを更新する合計285・88点をマークしており、これが今季世界3位となっている。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックを見据える上でも日本の若き実力者2人が挑む今大会は最後まで目が離せない。【グルノーブル倉沢仁志】