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「吉村知事」が「8割おじさんに騙された」 西浦モデルを阪大教授が全否定した「K値」とは

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デイリー新潮

天を仰いだ吉村知事

 吉村知事が先のように語ったのも、会議の席でオブザーバー参加した2人の学者から、緊急事態宣言も、西浦教授の予測を信じて行った大阪と兵庫の間の往来自粛も、多方面への営業自粛要請にも、効果がなかったと断じられたからだ。  その学者の一人、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、 「吉村知事は天を仰いでいました。西浦モデルに“騙された”という思いがあるのではないでしょうか」  と、述懐。そして、 「私はウイルス学が専門で、常にウイルスが飛び交う場所で、感染リスクを考えながら研究しています。その点からいっても、新型コロナは基礎疾患がある人、高齢者などの“コロナ弱者”を除けば治る病気。強毒性のウイルスと同様の対処をするのはどうなのか、というのが私の意見です」  と言い、多くの対策に効果がなかった根拠を説く。 「空気感染はないと言っていいレベルで、咳、痰、唾が飛んでの飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻を触っての接触感染に気をつければ、感染リスクは非常に下がり、それにはこまめな手洗いとマスク着用で事足ります。感染は3月28日にはピークアウトしていましたが、収束へ向かったのは初期段階の対策の効果。緊急事態宣言の発令後、映画館やパチンコ店など、ほとんど話をしない場所への自粛も呼びかけられ、駅の利用状況も問題視されましたが、唾液が飛ばないところで自粛しても意味がありません。緊急事態宣言にも、メンタル的な効果はあったと思いますが、休業を強いる必要はなかった」  西浦教授の数理モデル自体はどうか。 「42万人死亡、という数字は、だれも新型コロナを気にせず、毎日ドンチャン騒ぎをする状況なら、確率論的にはありえますが、一般常識としてはありえません。その公表がリスクコミュニケーションとしてどうだったかといえば、私はよくなかったと思う。言い出せば世の中は怖いウイルスだらけで、何百万人死ぬという推計も、出そうと思えば出せます。しかし、出しても恐怖を呼び、社会的に混乱を招くだけです」  また、今回の感染は、 「中野教授のK値を見ても、自然減の傾向が強く、放っておいても下がる」  と語る。そこでもう一人の学者、大阪大学核物理研究センター長の中野貴志教授に登場を願おう。まず「K値」についてだが、 「感染拡大率の減速を示す指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出するものです。先にK値で予想を立て、以降の感染者数を見ると、いまのところ予測とほとんど同じ推移です。指数関数的に感染者数が増えると言われていた時期に、それはありえないと思い、初めて計算しました。この病気は発症後2週間で治るので、指数関数的に増え続けるのは不可能。投げたボールが落ちてくるように、感染者の推移も、勢いよく上がっているように見えている段階でさえ減速している。その勢いの衰え方がずっと一緒なら、少なくなるのはいつかという予測も立ちます」  K値を通して、見えてきたことは多いという。 「人と人との接触が多いと感染拡大のペースが上がるなら、都市部では収束が遅れ、地方では早くなるはずですが、それが変わらない。すると、3月上旬までの感染者で、日本のその後の感染者数の推移は決まったと考えたほうが自然です」  もっとも中野教授は、 「3月中旬までに行った対策は手洗いもマスクも3密回避も、きっと意味があって続けるべきことが多い」  と強調し、クラスター対策によっても、 「ボールを引っ張る引力が倍ぐらい強くなる」  としつつも、こう話す。 「緊急事態宣言はK値の解析レベルではわからない程度の改善しかなく、大阪と兵庫の往来自粛も同様です。人出の多少でも変わらず、パチンコ店でもクラスターの発生はない。大声で人と話し、唾が飛び交う状況でないただの“密”は危なくない、と考えたほうが論理的です。さらに日本は欧米にくらべ、ロックダウン前の収束スピードが倍くらい速い。これには疫学的ななにかがあると思います。だから、海外から感染者が入ったら欧米のように感染爆発とか、ありえません」 「42万人」も指数関数的に増え続ける場合の数字で、発表時にはすでに「鎖国」していたのだから、 「ありえない」  と訴える。知事がショックを受けたのも無理はない。 「週刊新潮」2020年6月25日号 掲載

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