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オラファー・エリアソンの大規模個展「ときに川は橋となる」が東京都現代美術館で開催。サステナブルな世界の実現に向けた実践を見る

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美術手帖

 オラファー・エリアソン は1967年デンマーク・コペンハーゲン生まれ。90年代はじめから写真、彫刻、ドローイング、インスタレーション、デザイン、建築など多岐にわたる表現活動を展開してきた。なかでも自然現象を新たな知覚体験として再現する大規模なインスタレーションや、アートを介したサステナブルな世界の実現に向けた試みで国際的に高い評価を得ている。  95年にはベルリンで「スタジオ・オラファー・エリアソン」を設立し、現在は技術者や建築家など100人を超えるメンバーで構成。スタジオでは実験とリサーチ、コラボレーションによって、様々なアイデアやプロジェクトが開発されている。また2014年には、建築家のセバスチャン・ベーマンと共同で「スタジオ・アザー・スペーシズ」を設立した。  そんなエリアソンによる、日本では10年ぶりの大規模個展「ときに川は橋となる」が東京都現代美術館で開催される。会期は3月14日~6月14日。  本展は、エリアソンの再生可能エネルギーへの関心と、気候変動への働きかけを軸に構成。植物や木を用いたインスタレーション、光と幾何学に対する長年の関心が反映された彫刻、写真のシリーズ、公共空間への介入をめぐる作品など、多くが日本初公開となる。  見どころとなるのは、アトリウムの吹き抜け空間と、展示室に隣接するサンクンガーデンに制作された本展のための新作インスタレーション。また、暗闇に虹を再現する初期の代表作《ビューティー》(1993)をはじめ、体験型の作品も登場する。  またエリアソンは、幼少期に多くの時間を過ごしたアイスランドの自然現象を長年にわたって撮影してきた。《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》(2019)では、過去20年間の氷河の大きな変化が目に見えるかたちで示されている。  加えて、社会的な課題に取り組むサステナブルな実践の数々にも注目したい。たとえば《サンライト・グラフィティ》(2012)は、電力にアクセスできない地域に住む人々に届けられる携帯式のソーラーライト「リトルサン」に蓄えられた太陽の光で、誰もが自由にドローイングを描くことのできる作品だ。  上記を含む作品は、ソーラーエネルギーの利用から作品の輸送における二酸化炭素排出量の削減など、展覧会の様々な側面で環境に配慮しているという。また会場では「スタジオ・オラファー・エリアソン」による、生分解性の新素材やリサイクルの技術に関する近年のリサーチの一部が紹介される。  エリアソンは「リトルサン」を手に、「私はベルリンの太陽の光を日本に持ってきました。私の手の中にあるのは小さな発電所なのです」と語る。本展では、アートを介して地球環境の変化に反応し、未来を再設計する術を思考してきたエリアソンのいまを見ることができるだろう。

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