「ファイナルファンタジー7」リメイク版はPS4世代で確実に勝つためのゲーム
欧米圏のヒットを前提に攻めに転じるスクエニ
ただ、スクエニは苦しい時期でも、世界トップ水準の技術力を維持できるように努力を進めていました。3年前の苦しい状態から、今年からは「攻めに転じた」と言ってもいいでしょう。 5月12日に発表した決算説明会で、14年度(14年4月~15年3月)の家庭用ゲームの販売実績を1796万本としていました。しかし、今年度(15年4月~16年3月)は2260万本と大幅に販売本数を高めにすることを予定しています。日本は14年度476万本、今年度480万本と大きな成長はないと予定しています。一方で、北米は14年度759万本を、今年度1020万本、欧州は14年度505万本を、今年度740万本と、欧米圏での大幅な販売数増加を予定しています。これは「トゥームレイダー」の最新作など欧米圏に強いタイトルが、リリースされることが織り込まれていると思われます。 今年、9年間も開発を続けている「FF 15」の発売は行われず、来年になるようです。「FF7リメイク版」の発売日ははっきりしていません。だいぶ待たされそうな気がします。ただ、欧米圏では、PS4の普及が、今後数年にわたって進むことが期待できます。 そこを読んだ上で、スクエニは毎年のようにリメイクや新作を含め、FFシリーズを世界リリースできる体制を作りあげ、家庭用ゲームの世界で、世界での高い存在感を再び獲得できるようになることを、目指しているように思えます。もちろん、日本でPS4がヒットし、家庭用ゲームで遊ぶ習慣が再び広がることも期待できるのではないでしょうか。 ---------------- 新 清士(しん・きよし) ゲームジャーナリスト 1970年生まれ。デジタルハリウッド大学大学院非常勤講師、立命館大学映像学部非常勤講師も務める。日本経済新聞電子版など寄稿先多数。著書に電子書籍「ゲーム産業の興亡」、「『侍』はこうして作られた」がある。