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コロナ禍「面会禁止」いつまで…病院の緩和目安なく苦悩 院内感染不安、判断難しく【NEXT特捜隊】

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@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 「高齢の祖母が持病で入院し、重篤な状態です。しかし、親族でさえ、面会の許可が下りません。祖母が元気になって戻ると確約されていれば、面会せずに待つことができますが…」  静岡県東部の男性(40)が静岡新聞社「NEXT特捜隊」に胸の内をのぞかせた。新型コロナウイルスの院内感染のリスクから「病院側が面会に慎重になるのは十分理解できる」という。それでも「祖母の意識があるうちに、せめて(実子の)母だけでも面会させてあげたい」と願う。

 静岡県内で入院患者への面会はどうなっているのか。20カ所以上の主な病院に尋ねた。  23日時点で「原則面会禁止」を続けているのは、少なくとも15病院。患者の容体が不安定なときなど、主治医が必要と判断したら、家族に面会させているケースがほとんどだ。  「原則禁止」を続ける公的病院で感染管理責任者を務める医師は「規制を強めるのは簡単だったが、緩めるには勇気がいる。万に一つ院内感染が起きた時の“社会の目”が怖く、リスクに応じた正常な判断が難しい」と説明する。  7病院は6月から、同居の家族に限るなどして、短い時間だけ許可している。

 取材を進めている間に、男性の祖母が入院する病院でも、県内在住の家族1人が面会できるようになったという。「母とおじがそれぞれ数分間、面会がかないました。1カ月以上の入院生活で祖母はすっかり認知症が進み、誰に会ったのか記憶ができない状態でしたが、母は気持ちが落ち着き、安心した様子でした」  「原則禁止」を続ける複数の病院の医師や職員には「できる限り患者の望みに応えたい。面会をかなえたい」との思いが共通していた。それなのに対応に踏み切れないのは、いつ、どの程度制限を緩めるかの目安がないからだと分かった。

 市立病院の副院長は「判断のよりどころになる目安があるといい。それが無いまま病院に一任されている現状で、制限を緩和してクラスターが発生すれば『病院の判断が甘かった』と非難される。悩ましい」と打ち明けた。院内では「原則禁止」を続けるか緩めるかで議論が分かれているという。  「目安」について、県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の座長を務める倉井華子・感染症専門医は「院内にウイルスが入り込むリスクと、院内感染によって患者が命の危険にさらされるリスクは病院や地域によって異なる。県全体に一律の目安を示すのは難しい」との見方だ。

 一方、1万カ所以上の高齢者施設でつくる全国老人福祉施設協議会は5月、「面会制限の継続は、利用者、家族の不満や、施設への不信感につながりかねない。徐々に現実的な措置を取っていくことが求められる」として、面会者の条件や感染防止措置の緩和についての具体的な目安を示した。面会再開に踏み切ろうとする施設を後押ししようとする姿勢がうかがえる。  <メモ>NEXT特捜隊 「これ、気になる…」「おかしくないかな…」「もっと知りたい…」。読者から寄せられた情報や疑問に基づいて、静岡新聞のチーム・ネクスト(TEAM NEXT)編集委員が取材・調査を進める身近な調査報道企画。

静岡新聞社

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