シリア暫定首相に反体制派のバシル氏、政権移譲へ旧政権と協議開始
Maya Gebeily Timour Azhari [ダマスカス 10日 ロイター] - シリアのアサド政権崩壊を主導した反体制派「シャーム解放機構」(HTS)は10日、「シリア救国政府」を率いるムハンマド・バシル氏が暫定首相に任命されたと発表した。 バシル氏は国営テレビで放映された演説で、3月1日まで暫定当局を指揮すると述べた。同氏は国内での知名度は高くないが、反政府勢力が支配する北西部で政権を運営してきた経歴を持つ。 同日に救国政府と旧政権などが会議を開き、政権移譲について話し合ったと明かした。 首都ダマスカスでは、政権崩壊後初めて銀行が再開。商店も再開され、清掃員が通りを掃除するなど、日常生活が戻りつつある。武装勢力の姿も少なくなっている。 関係者2人によると、反体制派司令部は戦闘員に都市部からの撤退を命じ、同派主要組織のシャーム解放機構(HTS)の警察や治安部隊を代わりに配備するよう命じたという。 HTSは旧アルカイダ系組織で、最近はイスラム過激思想から距離を置いている。 一方、ブリンケン米国務長官は10日、米国はシリアの政治移行プロセスを全面的に支持し、信頼できる包括的な無宗派の統治に至ることを望んでいると表明した。 「化学兵器および生物兵器の安全な備蓄と廃棄を確実にする」ことにコミットする必要もあるとも強調した。 ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は、政権が崩壊したシリアの情勢を注視し、反体制派やイスラエル当局などと緊密に連絡を取っていると明らかにした。 米国務省のミラー報道官は、HTSのテロ組織指定を変更するかどうかについては明言を避け、過激派組織が約束を果たしてこなかったのを繰り返し見てきたと話した。 米国がHTSに対し、2012年にシリアで誘拐された米国人ジャーナリストの安否を確認し、解放するよう要請したとし、米政府にとって「優先事項」だと述べた。 また、イスラエルのカッツ国防相は、イスラエルに対する「テロの脅威」を防ぐため、シリア南部に「イスラエル軍が常駐しない防衛地帯」を設けることを目指していると述べた。イスラエル軍は一連の空爆でシリアの戦略兵器備蓄の大半を破壊したとしている。 イスラエル軍は、アサド政権崩壊後の48時間で対空砲台や軍用飛行場、兵器製造施設、戦闘機、ミサイルなどの標的に対してジェット機による350回以上の攻撃を実施したと明らかにした。