【漫画】作家が絶叫「マンガって難しい!」 創作する人は“表現者”じゃない?
人それぞれの創作手法を知るのも、また楽しい
漫画家のふじた渚佐さん(@asakotofuji)が、Twitterで『漫画って難しい!』を公開しました。マンガの創作において、いつの間にか最初のプロットとは方向性が変わっていくことのある難しさを伝えています。 【マンガ】創作の難しさを“ド直球”で表現 本編を読む このツイートには、読者から「分かる。小説でも同じことが起きる」「キャラが勝手に動くってこういうことか」などのコメントが寄せられました。また、あまりにも熱が込められた表現に「勢いが好きですww」との感想も見られます。 作者のふじた渚佐さんに、お話を聞きました。 ーーふじた渚佐さんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。 Twitterです。もともと趣味で描いていたマンガをTwitterで発表し続けていたら、出版社の編集さんからお声がけいただくようになり、連載化させていただく運びとなり、漫画家としてデビューすることを決めました。 小さい頃から漫画家になりたかったけれど、家が厳しくてマンガを生業にすることをなかなか認めてもらえず、全く違う分野の仕事に就こうとしていた最中だったので、正直ものすごく驚きました。「どうなるか分からないけど、これは昔からの夢をつかむチャンス。今行かなきゃ多分一生後悔する」と思ったので飛び込んでみました。飛び込んでみて3年経った今でも未熟で分からないことばっかりですが、すごく楽しいです。 ーー『漫画って難しい!』を、Twitterで公開することに決めたのはなぜでしょうか? それはもう、その時に「マンガって難しい!!!!!!!!!」と思ったからです。「マンガが難しいことを普通に言葉でツイートするよりも、マンガとして描いた方がより伝わるのでは!? 私がどんだけマンガ難しいと思ってるか伝わるか!!??」という気持ちでした。なんかもう叫びたかったという感覚です。 ーーこれまでマンガを制作してきたなかで、『漫画って難しい!』と同じような状況になった具体的な例があれば教えて下さい。 たとえば、私が前に連載させていただいていた『ひなたと三笠』という作品があります。あれは最初、“百合”を描こうとしていたんです。最初の段階ではそのはずでした。しかし、描き進めていくうちにキャラのほうが「ごめんうちら“百合”じゃなくて“友情”だわ」と言い出し、結局“百合”にならず友情モノになったという話があります。しかし、正直これは私の力量不足な話でもあるので猛省しています。 マンガって、ドキュメンタリー番組と近いものがあると思うんです。まず人物たちがいて、それを映して編集するのが、描き手である私の役目だと思っています。私は「番組・作品として魅せるためにこう映したい、こう編集したい」と考えながらカメラを回しています。魅力的に編集するためには、映す人物たちの性格や持ち味を、しっかり把握する必要があると思うんです。それもめちゃくちゃ難しいです。 創った本人のくせに、キャラのこと把握しきれてないんですよ。把握しようとすればするほど広い視野で見られなくなるというか、焦点化してしまう癖があります。だから、自分では把握したつもりになっていても、全然把握できてないんですよね。編集さんや読者さんなど第三者に「この子ってこういうとこもありますよね」って言われて「えッ!!!??!!! うわホントだ!!! そんな面あったの!!!?」ってなったりする時もあります。 なんとなく、子育てに近い何かを感じたりもします。リアル子育てしたことないけど、こんな感じなのかもなあ……と思ったりします。そう考えると、私は親として本当に未熟です。「作品としてこう編集したい」という私の気持ちばっかりを優先し過ぎると、人物が死にます。「私はこうなんだよ」というキャラの気持ちばっかりを優先し過ぎると、話としてまとまらなくなります。このふたつとどうバランス良く付き合っていくか、それが今の私の課題だなあと思っています。 ーー今回のマンガに対する読者からの反応では、どのような声が特に印象に残りましたか? ある読者さんが「分かります! 私もときどき小説書くんですけど、もはや私は表現者ではなく彼らの物語を映すカメラマンなんですよね」と仰っていたのが印象深かったです。 カメラマンというところは私も同じだったんですけど、「もはや表現者ではない」という表現はめちゃくちゃ斬新でした。すごいしっくりきました。創作家は表現者って言われがちだけどそうじゃない、ただのカメラマンだと私も思います。 それと全く真逆の意見で、「こうなりてえなあ」と仰っていた方もおられました。この方の創作手法がものすごく気になりました。自分とは違う創作手法を知るのって楽しいんです。「そんなやり方もあるのかー!!」ってすごく良い刺激になるので、もっといろんな人の創作手法を聞いてみたいです。