「減らさない」お金は? 個人向け国債も選択肢に
今は預貯金ではお金が増えない時代なので、お金を増やそうと思ったら、預貯金以外の金融商品を利用することになります。中には「お金は増やしたい、でも値下がりして損するのはイヤ」と思う人もいるようですが、「減らさない」と「増やす」を両立させることはできません。この2つは別々に考える必要があります。
■「リスク限定」や「元本確保」ならば安心?
つみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度ができたことによって、積立投資を始める人が増えています。とはいっても、預貯金しか利用していない人はまだまだ多いのが実情。預貯金でお金が増えないことには不満を感じていて「少しでもお金を増やしたい」と思いつつも「値下がりするのが怖い」とか「損をしたくない」といった理由から投資に踏み出せないでいるようです。 そういう人たちをターゲットにした金融商品が販売されています。例えば、「リスク限定型」あるいは「下値限定型」の投資信託。これは、投資信託の個別の商品であるファンドの価格が一定以下に値下がりしたら、そこで繰り上げ償還、つまり運用をやめてファンドの資産を購入者に返すといった仕組みになっています。 これなら、値下がりによる損失が限定されるので、ものすごく損をすることもない代わりに、値上がりも抑えられます。“限定”のための仕掛けには高いコストがかかり、それがファンドの資産から差し引かれることもあって、資産を増やすことは期待できません。 また、通常のファンドは一時的に大きく値下がりすることがあっても、長期で保有していれば価格が回復する可能性もありますが、リスク限定型や下値限定型は大きく値下がりすると、それが一時的なものであってもそこで運用がストップしてしまい、保有し続けることができません。 「元本確保型」や「利回り確保型」といった投資信託もありますが、投資信託である以上、元本や利回りが必ず確保されるわけではなく、正しくは「元本確保を目指す」「利回り確保を目指す」投資信託といえるでしょう。ある程度のリターンは期待できるものの、元本や利回りの確保を目指すために複雑な仕掛けががあり、そのための高いコストでリターンが抑えられてしまいます。 1つの金融商品で「増やす」と「減らさない」を両立させようとするのは、「食べたい、でも太りたくない」というのと同じようにムリなのです。「増やす」と「減らさない」は別々に考えて、それぞれに適した商品を組み合わせて使うのが正解です。