エリー鉄道株巡る大乱戦後も資産家の地位揺るがず ヴァンダービルト(下)
ヴァンダービルトII世の邸宅(福沢桃介著『欧米株式話歴史』より)
ハーレム鉄道、ニューヨーク・ハドソン川鉄道、さらにはニューヨーク・セントラル鉄道を手中に収め、アメリカ東部の鉄道王となった、コーネリウス・ヴァンダービルトの次なる標的は、ダニエル・ドルーの持つエリー鉄道株でした。歴史に残るこの大乱戦で、ヴァンダービルトはライバルにどのように立ち向かっていったのでしょうか。市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。 ハーレム、ハドソン、ニューヨーク・セントラル3鉄道を手中に ハーレム鉄道株を巡る大仕手戦で勝利し、わがものにしたヴァンダービルトの上昇志向は衰えそうにない。ハーレム鉄道の競合するニューヨーク・ハドソン川鉄道を買収し傘下に収める作戦である。1864年、ハドソン川鉄道株をあっさり手中に収める。さらには、ニューヨーク・セントラル鉄道(アルバニー―バファロー間)を買収し、ハドソン川鉄道と連結させる計画である。 その一方、ニューヨークから五大湖地方を結ぶ一大幹線とする計画を立て、一部株主の反対にあいながらも1867年には、計画通りニューヨーク・セントラルをその支配下に置くこととなった。この時、彼が市場で株集めに要した金額は1800万ドルの巨額にのぼった。1869年秋には州議会とヴァンダービルトとの関係は好転し、ハーレム、ハドソン、ニューヨーク・セントラル3鉄道の合同が認可される。
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