東京医科大の常務理事らが会見(全文1)当該学生の地位剥奪は好ましくない
常務理事の行岡氏からのあいさつ 内部調査報告書を受けて、時点での取り組みと対応
行岡:常務理事の行岡でございます。本学が選定を受けました、文部科学省の大学支援事業ならびに本学の入学試験において重大な不正問題がございましたことにより、皆さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしました。さらに社会の信頼を大きく裏切ることになりました。まずもってこれに心からおわび申し上げたいと思います。昨日、内部調査を依頼しておりました、田辺総合法律事務所より調査報告書を受領いたしました。前理事長の臼井正彦、前学長の鈴木衞による贈賄および入学試験の重大な不正が明らかになりました。このことをまずもって、まず国民の皆さま、本学を受験された受験生の皆さま、全ての大学の関係者の皆さま、本学の学生およびその保護者の皆さまにあらためて心よりおわび申し上げたいと思います。 内部調査報告書を受けて、現時点での本学の取り組み、対応をご説明させていただきたいと思います。座って失礼いたします。お手元の資料に沿って進めたいと思います。調査報告書については別添えの資料のとおりでございます。今後の調査についてでございますが、今回の調査は第一報として1カ月間で行ったものであり、また調査報告書にもあるとおり、多くの資料が押収されている中での調査となったことから、本件の全容を把握するには至っておらず、今後さらなる調査が必要であると考えております。入学試験については文部科学省より過去6年分の調査の指示を受けていることから、できる限り早急にこれを実施いたします。なお今後の調査等については押収された資料の還付等に関して、捜査当局にお願いをしつつ、資料を整えつつ、第三者委員会の設置をすることといたしました。同委員会の具体的な人選等については検討を進めます。
入学試験における不正への対応について
入学試験における不正への対応についてでございます。得点調整による合格者への対応。まず全般的な対応でございますが、調査報告書に記載されている得点調整の状況については、前述のとおり、大学に残された資料に基づくものであり、入試に関する資料の全てを精査できたわけではございません。調査報告書の内容を受けて、得点調整によって合格した可能性のある者への対応を教授会において検討いたします。検討の方向性としては、本件においては得点調整の行為そのものが大学側が行ったことであるので、学生の地位を剥奪することはふさわしくないと考えております。ただし今回の調査報告書のみで判断しきれるか、それともさらなる調査が必要かを含めて検討いたします。 元局長子息への対応。調査報告書によれば、得点調整がなくとも繰り上げ合格点になっていた可能性が指摘されております。一方で、元局長子息の合格に関しては今回のブランディング事業における【対価 00:07:32】であることも指摘されております。このようなことも考慮しつつ、教授会において慎重に検討いたします。 得点調整によって不合格となった受験生への対応でございます。全般的な対応は先ほどのことと同じでございますが、2つ目の段落、対象となる当時の受験生の現在の状況や希望、本学の学生定員など、さまざまなことを考慮し、適宜、文部科学省と協議しながら教授会において慎重に検討いたします。 女子の2次試験での減点。女子の2次試験(小論文)において一律減点したことについては、断じてあってはならないことと思っております。これは根絶いたします。過去の女子受験生に対する対応についても誠心誠意検討いたします。浪人生の2次試験での得点調整。入学試験において浪人生の得点調整をしていたことについては、これも根絶いたします。過去の受験生への対応についても誠心誠意検討いたします。 入学試験の改善策。まず文部科学省からの指示を受けている調査を進め、再発防止を検討いたしたいと思っております。すでに学長職務代理の下で入試改善委員会を立ち上げ、具体的な入試の改善策の検討に着手しております。入試改善委員会は学長職務代理の直轄組織とし、現在の入試委員会には属さない主任クラス4名をメンバーとした得点改ざん防止策等(監視カメラ、パソコンルームの入室制限、ファイルのアクセスログの保存と内容の監視など)を検討いたします。既存の入学試験選考委員会は学長を含めた大学執行部からの独立を確保するため、学長、副学長、副学長補を構成から除外いたします。また、外部委員による監査を行うため、入試監視委員会を立ち上げます。なお、これらの施策については調査報告書の指摘事項を踏まえて、さらに検討いたします。 女性差別への対応。入学試験において女性を一律減点していたことは断じてあってはならないことであり、これを根絶するのはもちろんのこと、それにとどまらず、入学試験以外においても、あらためて全学を検証いたします。なお一方で大学はダイバーシティー推進に努めてきたところでありますが、あらためてこれらを検証し、さらに良い環境となるよう改善を進めます。 私立大学ブランディング事業でございます。調査報告書の指摘どおり、自主返還を考えております。ガバナンス改善。1、理事会の改革。理事会としては今回の前理事長、前学長の不正行為について責任を痛感しております。調査報告書の指摘のとおり、理事会が適正に機能するよう、また理事長、学長が厳正に役割を果たすことができるよう、在り方の改革に向け議論を早急に開始し、しかるべき時期に信を問う必要があると考えております。 理事長、学長の選出。報告書では理事長、学長の適性として不正入学の関与の有無についても指摘されております。このような指摘を踏まえ、新理事長、新学長の選出を検討しなければならないと認識しております。なお新学長の選出については、今回の問題の発覚前から新学長の選出手続きは進行してきたところでございますが、現在手続きを停止している状態であり、調査報告書の指摘を踏まえて、学長選考の方法をどのようにするか速やかに教授会で検討を行います。 本学全体の改革に向けて。今回の問題を踏まえた本学全体の改革に向けて、調査報告書にもコンプライアンス再構築検討委員会を設置すべきとの指摘があるとおり、外部有識者の知識を合わせて地に足の着いた再生策、組織風土改革をしっかり進めていきたいと思っております。以上でございます。 司会:それではここから質疑応答の時間とさせていただきます。質問のございます方は挙手の上、私からのご指名をお待ちいただきたいと思います。係の者がマイクをお持ちしますので、ご質問の前には社名とお名前をおっしゃっていただきますよう、ご協力をお願いいたします。それでは挙手のほうを。では、はい。そちらの中央の方。はい。どうぞ。 【連載】入試不正、東京医科大の常務理事らが会見 全文2へ続く