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柔道・原沢の原点「240段階段ダッシュ」東京五輪金へ駆け上がる

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サンケイスポーツ

 【TOKYO2020+1カウントダウン】  来夏の東京五輪柔道男子の強化合宿が今月12日、東京・北区のナショナルトレーニングセンター(NTC)を拠点に始まった。男子100キロ超級で金メダルを狙う原沢久喜(28)=百五銀行=ら既に内定している6選手が参加し、新型コロナ対策に努めながら強化に励む。最重量級エースの原点は山口・下関市立文関小時代の6年間続けた特訓「240段の階段ダッシュ」。生まれ育った思い出の地を、本紙記者が訪ねた。(取材構成・石井文敏) 【写真】原沢は少年時代に強さの土台を築いた ◆小学時代6年間特訓「その後の土台に」  コロナ禍で乱取りなどの練習が制限される中、原沢は東京都内の公園に足を運ぶ。そこで黙々と幼少期から慣れ親しむ“原点練習”を繰り返す。2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリストは、故郷の山口を懐かしそうに振り返った。  「階段ダッシュなどで足腰を鍛えた。頑張って、毎週行き、みんなであの階段を上った。スタミナもつき、その後の土台になるようないいトレーニングだったと思う」  山口・下関市立文関小の6年間、在籍した大西道場スポーツ少年団で強さの礎を築いた。日和山(ひよりやま)公園に向かって走る伝統の練習メニュー「240段の階段ダッシュ」が原点だ。  下関駅から徒歩15分の閑静な住宅街の一角。日曜日の午前7時15分から20分間、日和山公園内にある見上げるほどの傾斜がつく階段を4往復半、疾走した。本州と九州を隔てる関門海峡が一望できる観光スポットに向かい、果てしなく一直線にのびる階段。時に眠い目をこすりながら30人ほどの部員仲間と足が棒になるほどのメニューに励み、足腰を鍛えた。 ◆ゴールで待つ幕末の志士・高杉晋作像  ゴールとなる丘の上には幕末の志士、高杉晋作の陶像(高さ4・2メートル)が立つ。長州藩出身の先人を深く知ったのは日新中での授業だったというが、原沢少年は倒幕を志した高杉のように、「五輪金メダル」の夢に向かって階段を走り続けた。  「小学生時代は基礎を学び、大学生になってからは勝てるようになりました」  今でこそ身長191センチ、体重124キロと最重量級で闘う原沢だが、当時(小6)は身長150センチ、体重47キロの軽量級の選手だった。活躍を目指し、得意の内股を軸に技のスピードを生かした柔道を追い求めた。階段ダッシュなど下半身に負荷のかかるトレーニングを繰り返し、柔道の土台を身に付けた。  日大2年時に学生日本一に輝いた。継続してきた階段ダッシュはスタミナや技の威力のみならず、相手の攻撃を防ぐ受けの強さにもつながった。努力が結果に表れ、日本男子最重量級を代表する選手へと成長。15年には全日本選手権を初制覇。16年リオ五輪は銀メダル。その後はオーバートレーニング症候群や故障に苦しみながらも昨夏の世界選手権(日本武道館)で2位。復活し、東京五輪代表に選ばれた。 ◆「自国開催の五輪、誇りを懸けて闘う」  ニッポン柔道にとって、初めて実施された1964年東京五輪男子無差別級決勝(日本武道館)で、神永昭夫がアントン・ヘーシンク(オランダ)に敗戦した苦い過去がある。東京大会男子最重量級での五輪金メダル獲得は柔道発祥国の悲願だ。原沢は「自国開催の五輪で誇りを懸けて闘う」と覚悟を示した。  「新しい技や組み手を覚えることができる。内股の入り方を増やし、柔道の幅をもっと広げられる。どんな環境でも今できることを頑張る」  今月12日、昨年12月以来の国内合宿が再開。代表の原沢も参加し、来夏へ再スタートを切った。コロナ禍の今は帰省を控えるが、できる範囲で階段を見つけては駆け上がる。剣豪、宮本武蔵と佐々木小次郎が戦った巌流島を眺めることができる日和山公園。その頂上で少年時代に立てた夢を来夏、現実にする。 ★物静かも「全力で向かってくる」  原沢を少年時代に指導した山口・大西道場スポーツ少年団の石田充さんは「背が高くて体の線が細く、物静かな子。追い込む練習をしても全力で向かってくるところはすごかった」と振り返る。当時から組んで一本を取りにいくスタイルの確立を目指したという。来夏、東京五輪に出場する教え子に「頑張ってほしい」とエールを送った。 ★柔道男子100キロ超級・世界の情勢  原沢にとって強力なライバルがそろう。2016年リオデジャネイロ五輪100キロ超級決勝で原沢が敗れ、五輪2連覇を飾った“絶対王者”テディ・リネール(31)=フランス=を筆頭に、リオ五輪男子100キロ級金メダルのルカシュ・クルパレク(29)=チェコ、18年世界選手権優勝のグラム・ツシシビリ(25)=ジョージア=らがいる。2021年東京五輪の柔道は同7月24-31日に行われ、原沢が出場する男子100キロ超級は30日。会場は東京・千代田区の日本武道館。 ■原沢 久喜(はらさわ・ひさよし)  1992(平成4)年7月3日生まれ、28歳。山口・下関市出身。6歳から大西道場スポーツ少年団で柔道を始める。下関市立文関小、日新中-早鞆(はやとも)高を経て2011年に日大入学。15年に卒業し、日本中央競馬会に所属。19年3月から百五銀行。全日本選手権は15、18年優勝、16年リオデジャネイロ五輪銀メダル。東京五輪代表。グランドスラムは通算5勝。得意技は内股。191センチ、124キロ。

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