法政大学 長山一也監督【中編】 「個性のある選手を4年間でより魅力的な選手に磨き上げる」
1922年の創部以来、数々の大会で輝かしい成績をおさめてきた名門・法政大学サッカー部。少ない部員数ながらも、近年ではプロへも数多くの選手を輩出し、関係者からも注目されている。そんな法政大学サッカー部についてのチームが求める選手や人材育成などを長山一也監督にインタビューを行なった。 【フォトギャラリー】法政大学サッカー部 ーー法政大学サッカー部がチームとして求める選手とはどういった選手でしょうか? やはり色がある選手というか、特徴、個性のある選手ですね。そういった特徴や個性を4年間でより磨き上げることができたらと考えていますので。サッカーの技術的なことはもちろんなんですけれども、人間的な部分でもそうですし。ありがたいことにプロになれる選手も増えてきている中で、価値のある選手、人間性も含めて魅力的な選手を育てたいという思いは強いですね。 スタッフの中に、しっかりした個性があって、見ている人たちに「サッカーっておもしろいな」と思ってもらえるような選手を見出してくれるスカウトがいるんですね。私の一学年後輩なんですけれども、彼が法政大学のサッカーにフィットして、大学の4年間でちゃんと育ってくれる選手を見極め、選考してくれることで、チームも成長できているのかなと思います。スカウトとしっかりした意志の疎通ができていることで、魅力的な選手たちに「法政大学でサッカーをしたい」と思ってくれるような環境が整ってきているのかなと感じていますね。 ーー選手のセレクションは毎年定期的に行っているのでしょうか? セレクション自体はその年によって開催したりしなかったりという感じですね。2019年は行ないませんでした。昨年の場合はコロナという状況もあり、大学の施設に高校生の選手たちを集めることができなかったので、別の場所を借りて、そこに選手たちに集まっていただいて見させていただきました。あとは映像等を送っていただいて見させていただいたという感じです。 ーーチームの部員数やカテゴリーなどは現在どのような形になっているのかを教えていただけますでしょうか? 2020年はマネジャーや学連のスタッフを含めて60名、選手が51人です。AチームとBチーム、2つのカテゴリーになりますね。少数精鋭で関東の大学リーグでも少ない方だと思います。理由としてはスタッフが多くないということもあるんですけど、しっかりと選手の面倒を見たいという思いがありまして。部員数が多いと、どうしても目が行き届かない部分が出てきてしまうと思うので、極力そういったことのないように少ない人数で鍛え上げています。それと、これはもう昔から、法政は少数精鋭でやってきていますので、そういった伝統というのもあると思います。 ーーサッカーを通じての人材育成などについてはどうお考えでしょうか? まず第一に「法政」にかかわるすべての人を、サッカーを通して笑顔にするということがメインとしてありまして、私個人としては学生に対するテーマ、ミッションは「社会で活躍する人材を育てる」ということですね。それは一般企業に就職する学生、プロに進む学生、どちらにも言えることです。企業に就職する学生には「しっかりと働き、企業と社会に貢献する人間にならないといけないよ」ということを話しますし、プロになる選手には「入団したことがゴールではなく、プロで活躍する選手にならないといけないよ」という話をします。指導者として、学生には人間的に成長してほしいと思って、日頃から指導しています。 サッカー選手って、最近ではプレーできる寿命も延びてきているとは思いますが、期間的には限られていますし、セカンドキャリア、例えば選手を引退して指導者への道を考えた時に、やはり優れた人間力が必要になってくるので、そういった面での成長は不可欠だと思っています。企業に就職して働くにしても、ただひたすら自分で頑張るのか、それともリーダーシップを発揮して、周囲の人を巻き込んで大きなパワーを生み出せる人間になれるのかで大きな違いが出てくるので、やはり、いち人間として魅力のある優れた人材になってほしいという思いは強いですね。 次回は「指導した中で印象に残っている選手」についての話などを紹介する。 (取材=高校サッカードットコム編集部)