<二礼一七拍手一拝>安倍元首相を神として祀る「安倍神像神社」。なぜ長野県に創建したのか、そのワケを元警官の宮司に聞いてみると…
◆創建まもない安倍神社へ いまも盛んに更新されている素心氏のブログによれば、神社の所在地は長野県下伊那(しもいな)郡阿南町(あなんちょう)東條。グーグルマップで検索すると、長野県の南部がヒットした。 伊那盆地南部の中心である飯田市よりもさらに南であり、ちょうど南アルプスを望む山中にあたる。愛知県や静岡県との県境も近い。JRの飯田線もそばを走っているものの、ほとんど秘境のような場所だ。今回、豊橋市より車で向かったが、険しい山道を2時間かけて越えなければならなかった。 阿南町の中心部からやや外れたところに、ようやく案内板が見つかった。「人間学学問所 素心塾」。その脇の細い山道を登ると、平屋建ての民家がポツンとあり、呼び鈴を鳴らすと素心氏がすぐに姿をあらわした。 作務衣(さむえ)に茶人帽を被り、胸には拉致問題の解決を願うブルーリボン。白い口髭はまるでマンガのキャラクターのように直線状にきれいに整えられていた。肌は日に焼けて黒く、82歳(取材時)にしては若々しかった。 氏はすでに吉水神社の宮司を引退しており、阿南町には2022(令和4)年5月に引っ越してきたばかりだった。 「ぼくは山登りが好きなので、信州に移住しようと思って。ところが、あちこち探したものの、どこも雪ばっかり。そこで温暖なここを選びました。そしてこれからは畑作業をしながら暮らしていこうと思った矢先に安倍さんが亡くなって……」 ブログの激しさにくらべて、素心氏の口調は穏やかだった。ただ、いまでも連日更新しているだけあって、話しだしたら止まらない。質問がてら、新居の庭先にある安倍神像神社に案内してもらった。
◆白樺の鳥居と社殿 個人を顕彰する神社なので、日光東照宮のように派手なのかと思いきや、意外にもそれは素朴でこぢんまりとしていた。 鳥居も社殿の柱も白樺の木。加工されず使われているので、節榑(ふしくれ)立ってゴツゴツとしている。白い樹皮もそのままだった。そのため、白樺神社とも呼んでいるという。神社建築としては珍しいが、「この地域では昔ながらの宮居(みやい)だ」と言われたら納得してしまうかもしれない。 だが、その中央には見慣れた安倍の肖像が鎮座していて、現実に引き戻された。供えられたお神酒(みき)や神饌も真新しい。地元の工務店が手掛けたもので、土台はコンクリートなので見た目より堅牢そうだった。社殿の様式はシンプルな神明造(しんめいづくり)に則っており、千木(ちぎ)や鰹木(かつおぎ)で飾り付けられていた。 ただサイズはかなり小さく、神社というより祠に近い。高さは3メートルといったところか。また壁がないため、風がそのまま社殿を吹き抜けていた。
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