“執事”が明かす、超富裕層たちの買い物事情。「実物を見ずに数千万円のブランドものを購入」「トランクルームを8個借りている人も」
野村総合研究所の定義としては、純金融資産額が5億円以上の世帯が「超富裕層」とされているが、2021年に行われた調査の結果では9万世帯と意外に多い。にもかかわらず、その実態はあまり知られていない。 超富裕層たちは、閉塞感の漂う今の世の中とは無縁の、驚くべき生活を送っているという……。彼らは日々どんな暮らしをして、何に悩んでいるのか。 お金があるぶん、好きなものを好きなだけ買える超富裕層だが、ハイブランドの商品を実物を見ないまま数百万円や数千万円も購入したり、ついつい買いすぎてトランクルームを8個も借りたり……。 今回は、そんな彼らの買い物事情について、国内外の超富裕層向けに執事やメイドのサービスを提供する、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長の新井直之さんに話を聞いた。
ブランドものは「買ってから誰にあげるか考える」
私たち庶民にとってブランドものは、記念日やクリスマスなどの特別な日に買うものだ。緊張しながら、慣れないブランドショップへ足を踏み入れた人もいるだろう。 しかし超富裕層はブランドものに対して、全く違う接し方をしているそうだ。 「超富裕層は店舗に出向かなくても、ハイブランドのショップの方から家に来ます。たとえば、某高級ジュエリーブランドなら『新作のネックレスがございます』という案内をするために、訪問営業をしに来るわけです。そこで必要性を感じなくても、『確か、うちの新井君が仕事を頑張ってくれてるから、これをプレゼントするか!』といって購入するシーンも何度か見てきました。 そもそも彼らは『特別な日にブランドものを買う』という発想をしません。私たち庶民と逆の発想なんですね。先に物があって、次に誰にあげるかを考えるんです」 あげる相手は社員や家族など、人間関係を円滑にしてくれたり、ビジネスの上で有利になったりする人たちが対象になるのだという。もらう側は、なんとも羨ましい話である。
「ハイブランドの外商」が自宅まで訪問営業に来る
ともあれ、百貨店の外商については聞いたことがあるが、一般庶民からすると“ハイブランドの外商”なんて縁がないはずだ。 「ハイブランドの外商たちはアポイントを取って来ることもありますけど、急に『今から行ってもいいですか?』と、飛び込みで来る場合もあります。超富裕層たちも『わざわざ来てもらったと思うと、つい買っちゃうんだよね』と苦笑いされていますね」 家に来てもらえたとしても、高価な物を売りつけられて、うんざりしそうだが……。 「外商たちは物を売るだけじゃなくて、接待もしてくれるんです。たとえば、歌舞伎の好きな超富裕層には『歌舞伎座のチケットが入りました! 一緒に観に行きませんか?』と誘ってくれたりします。 また、接待は家の外にも及びます。ハイブランドのショップは一等地にあることが多いので、外出のついでに超富裕層が立ち寄ることもあるんです。そこで『お茶でも飲んで行きませんか?』と、奥の個室に案内してもらえます。“サロン”と呼ばれるその部屋には、シガーやお酒が置いてあることもあり、ゆったりとくつろぐことができます」 他にもレストランを併設している某高級装飾品ブランドでは、『ちょっと上で食事でも』とごちそうになり、『何か買わないと悪いな』という思いから、そのまま下のショップで買い物……という流れになることもあるのだとか。