水谷豊×寺脇康文の元祖コンビが、新たな活躍を見せる『相棒 season22』
右京や社が窮地に立つ、最終回スペシャルは必見!
異色なのは、第17,18話の2部作で描かれる『インビジブル』。ここでは右京がチェス大会で出会ったIQ150の天才少年が、ある目的を持った爆弾魔として、右京に捨て身のゲームを挑んでくる。二人の天才の駆け引きがスリリングに描かれ、一方ではパワハラを隠蔽する警察内部の悪しき体質を織り込んだ見どころが多い作品だ。 他にも中尾ミエ扮する詐欺師の女性と深夜バスに乗り合わせた右京が、彼女が巻き込まれた事件の謎をバス内での会話から探っていく第8話『センチメンタル・ジャーニー』や、薫の妻・美和子(鈴木砂羽)に謎のラブレターが届いたことから事件が展開していく第13話『恋文』などの注目作があるが、やはりシリーズのフルメンバーが揃った第19話と最終回の2話スペシャルで描かれた、『トレードオフ』が見応え充分。ここでは政治学者への襲撃事件に端を発し、右京と社美彌子、右京の上司・甲斐峯秋(石坂浩二)までもが、社会的に窮地に追い込まれていく。彼らと敵対する内閣官房長官・武智を演じた金田明夫の、憎々しい演技も絶品。この事件では、映像でアップされた右京の生成AI動画が効果的に使われていて、AIが悪用される怖さも映し出されている。また謹慎を命じられて表向きには動けない右京に代わって、薫が右京の推理の裏取りをしていく展開には、『相棒』シリーズならではのコンビネーションの面白さが見て取れる。
レギュラー陣が参加した、ライブ配信も収録《特典映像》
今回のBOXには、ファンなら見逃せない《特典映像》が満載。番組のPRスポット集をはじめ、『水谷豊×寺脇康文スペシャルインタビュー』では、「シリーズを通して、変わらないことは?」という質問に、水谷豊が「右京は、自分の価値観による正義で行動している」ところが変わらないと言っているのが印象的。朝の情報番組『グッド!モーニング』内で行われた水谷、寺脇への『放送直前インタビュー』と『最終回直前インタビュー』では、ほとんど漫才のような二人の掛け合いが楽しめる。水谷が歌い、寺脇が合の手を入れる、『グッド・ナイト・ベイビー』は必聴だ。中でも面白いのが、『相棒season22放送直前スペシャルライブ配信』の映像。水谷、寺脇に加え、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子の警視庁捜査一課の三人も参加。彼らが作品の魅力を語るだけでなく、ゲームにも挑戦する。例えば右京の口癖『はいぃ』をその場で水谷豊に言ってもらい、それが劇中のどのシチュエーションの時の『はいぃ』なのか他のメンバーが当てるといった、俳優の演技力も試されるゲームが登場する。本編では見られない『相棒』チームのリラックスしたムードと、ライブ配信ならではの生のリアクションが楽しい特典映像となっている。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社
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