非鉄製錬8社の4~12月期、金属価格上昇などで5社が最終増益。通期は6社が増益予想
非鉄製錬大手8社の20年4~12月期連結決算が出そろった。銅や貴金属などの金属価格が上昇したことに加え、自動車関連需要の回復や電子関連需要の増加などから8社中5社が最終増益(黒字転換含む)となった。通期予想は金属価格の上昇や自動車関連需要の回復などから5社が上方修正し、6社が最終増益(黒字転換含む)を見込む。 4~12月期の最終損益は、三菱マテリアルは自動車分野における高機能製品や加工事業の減販などがあったが、銅および貴金属価格の上昇、投資有価証券売却益などから増益。三井金属はキャリア付極薄銅箔の増販や在庫要因の好転、自動車部品事業のコストダウンなどから増益。古河機械金属は機械事業、素材事業がともに減益となったが、投資有価証券売却益などから増益。東邦亜鉛は在庫評価損益の好転や亜鉛買鉱条件の改善、金の増販などから黒字に転じた。日鉄鉱業は電気銅の増販やチリのアタカマ銅鉱山の増益、特別損失の減少などから増益。 一方、JX金属は機能材料・薄膜材料の増販や銅価格の上昇があったが、チリのカセロネス銅鉱山の減損損失や減産などから減益。住友金属鉱山は銅および金価格の上昇があったが、コロナ禍で海外銅鉱山の持分法投資損益が悪化したことなどから減益。DOWAホールディングスは銅や貴金属価格の上昇があったが、持分法適用関連会社の減益や法人税の増加などから減益。 最終損益の通期予想は、三菱マテリアルは主要製品の販売回復や金属価格の上昇などから前回予想比100億円の上方修正。住友金属鉱山は銅およびニッケル価格の上昇、シエラゴルダ社(チリ)への貸倒引当金の戻入などから同比320億円の上方修正。三井金属はキャリア付極薄銅箔の販売量増加や金属価格が堅調に推移していることから同比120億円の上方修正となった。一方、JX金属は第3四半期にカセロネス銅鉱山の減損損失694億円を計上したものの、第4四半期期に同鉱山の債務消滅益600億円を計上することに加え、通信需要増加に伴う電子材料の増販を見込み、前回予想を据え置いた。