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シティ派のヤンキーが恐喝未遂で島流しの刑に <裁判傍聴記・第3回>

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HARBOR BUSINESS Online

 ヤンキーがとにかく怖い。なにもしていないのに睨みつけられることもあれば、すれ違い際になぜか暴言を吐かれることもある。逆に見ないフリをしていても、それはそれで神経を逆なでしそうである。なにをしたら怒るのか、怒りのポイントがわからないことがいちばん怖い。今回は、東京23区のある地域でブイブイいわせていたヤンキーが恐喝未遂で捕まった事件。不良には不良のルールというものがあるようだが、まさか東京のど真ん中にまだこんな風習が残っていたなんて――。

郊外で有名なヤンキーがキレたらこうなる

 東京地方裁判所に行くと、本日は傍聴券の交付がある裁判が行われるようだった。傍聴希望者が多い場合には傍聴券交付手続が取られ、抽選となる。麻薬取締法違反の疑いで逮捕された、有名トレーダー・KAZMAXこと吉澤和真(30)の裁判だったが、初公判から追わないことには意味がない。なんとなく、ある「恐喝未遂」事件の初公判に向かったが、これがなかなか興味深い事件だった。  被告人のシバタ(仮名)は21歳。高校を中退後、定時制高校に入り直した。しかし、学校にはほとんど通わず、同級生たちとバイクで暴走するのが日課のいわゆる郊外のヤンキー。恐喝でいちど少年院に入所し、傷害でも保護観察を受けている。灰色のスウェットにパーカー姿、黒がところどころ混じった金髪で法廷にやってきた。どうやら、地元ではそれなりに名の知られた不良らしく、シバタに恐れをなしていた不良たちも多かったみたいだ。  それにしてもシバタの目つきは悪い。ジャックナイフのような表情で下を向きながら、床の一点だけをずっと見つめている。半開きなもんだから、白目が見えず全部黒目みたいになっていて余計に怖い。こんな奴に恐喝なんてされたら財布を投げつけて逃げ出してしまいそうだ。被害者はいったいどんな仕打ちを受けたのだろうか。

「コルク被ったら家燃やすし、周りの人間みんな殺す」

 シバタと同じ通信制高校に通う後輩の2人は、原付で道路を走っていると、偶然道を歩いていたシバタに出くわし、呼び止められた。彼らは同じ不良グループに属し、シバタは先輩にあたる。 「お前らだれの許可もらってコルク被ってんの? 10万払えよ。払わないなら家燃やすし、周りの人間みんな殺すから」  「家燃やす」と「みんな殺す」はこりゃ完全にアウト。不良同士の喧嘩とはいえ、悪いで有名な先輩にこんなことを言われたら不良の後輩でも震え上がってしまう。しかし「コルク」とはいったいなんのことだろうか? 法廷ではスマートフォンを使えないため、結局最後までわからずに聞いていたが、後で調べてみると「コルク半」というヘルメットがあるらしい。野球帽型のヘルメットを指し、以前は緩衝材にコルクが使用されていたため、いまもその名称が使われているという。東京の足立区、大田区、昭島市でも同様の事件は報告されており、「コルク狩り」とも呼ばれるようだ。  不良の間では「コルク半」は一種のステータスとなっており、目上の人間に見つかった場合、それはすなわち死を意味する――。ちょっと大げさかもしれないが、この世界ではとにかく、コルク被っている奴は生意気で、先輩からするとシメる対象になるのだ。一般人からすると、『ビーバップハイスクール』など80年代の話というイメージであるが、いまだにそういった慣習が残っていることに驚きだ。

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