服装から「みんなが生きやすい世の中に」 “自分らしい”成人式に込めた思い
女性体型用のメンズスーツを手がけるKeuzesの代表・田中史緒里さん(28)が、東京・渋谷区で、新成人のためのイベント『SEIJIN-SHIKI』を開催しました。“自分らしい服装で大切な節目の日を楽しんでほしい”との思いで行われ、2021年から23年に新成人を迎えた約120人が集まりました。参加者のほとんどは、LGBTQなど性的マイノリティーの方だといいます。田中さん自身も、戸籍上の性別は女性ですが、自身を特定の性別だと自認していない“FtX”です。 【画像】“自分らしい”服装で参加する『SEIJIN-SHIKI』
■「周りの人の目が…」買いに行けなかったメンズスーツ
田中さんにお話を聞くと、イベント開催の背景には“着たい服が着られない”という経験があったといいます。 「当時、かっこいいメンズスーツが着たいと思った時に、地元・茨城の家の近くのお店に行こうと思ったのですが、そこには知り合いのお父さんが働いているとか、絶対知り合いの人がいると思ったら、女の子である私が“メンズスーツ欲しい”と言った時の周りの人の目とか、店員さんがどういう対応してくるか、そういう想像をしただけで(嫌になり)買いに行けなかった」
結局、田中さんは成人式を欠席。当時は“着たい服さえ手に入れば成人式には行けたのに”と思っていましたが、会社を立ち上げ、お客さんと会話を重ねるうちに気付きがあったそうです。 「成人式に着ていきたいからスーツを作りに来てくれるお客さんが多いんです。話していると、服装はスーツ作ったら解決して、自分らしい服装で成人式は出られる、だけど当日周りにどう思われるかわからないから不安だし、自分らしくいられるかというと別の問題。スーツを買ったけど勇気が出ず、成人式に出られなかったという方も何人か見てきました。自分は着たい服装があれば出られたなって当時は思っていたけれど、当日その場に立った時に違う不安みたいなのがきっと出てきてたんだろうなって気付いた部分があって。服装だけではなく、人や雰囲気含めて成人式って大事なんだろうなと思ったので、そういう場所をつくれたらいいなと思いました」