会議やプレゼンへの不安と緊張に打ち勝つための方法とは（海外）
会議の席で感じる不安は、インポスター症候群が原因であることが多く、専門職に就く多くの人を悩ませている問題だ。 キャリアを羽ばたかせるには、自信と積極的な発言が鍵を握る。逆に、そうした行動をとらないと、キャリアが台無しになるかもしれない。 こうした状況を克服するためには、見知らぬ人に声をかけて褒めるなど、慣れない状況に意識的に身を置くことが効果的だろう。 不安という感情は、一番不適切な場面で頭をもたげることで知られている。 「闘争・逃走反応」は、かつては生存のために必要な反応だったが、今でも我々人間の体に染み付いていて、日常の最も不都合な場面で登場することがある。 会議の場も例外ではない。 そこでBusiness Insiderでは、キャリアコーチでポッドキャスト「The Straight Shooter Recruiter」のホスト役を務めるエミリー・ダーラム（Emily Durham）氏に話を聞いた。同氏によれば、自身のクライアントのうち数えきれないほど多くの人が、インタビューや公の場で話す前には落ち着かない気持ちになると告白しているという。さらに、会議に出席する前にも、同様の感情を覚える人が多いという。 さらに、ダーラム氏自身も、以前はまったく同じ状況だったという。 「手汗を抑える処方薬を使っていた」とダーラム氏は語る。会議室に足を踏み入れる時に、手のひらが汗だくになってしまうために、処方薬レベルの制汗剤が必要だったというのだ。 「障壁になるのは、自分のスキルや経験（の不足）ではない。また、会議前に用意していた資料に問題があるわけでもない」とダーラム氏は述べる。 「問題は、自信だ。『自分の能力を示すことができる』『自分が言うべきことを、人々は聞きたいと考える』と確信できるか、ということだ」
「自分に一番厳しいのは自分自身」という現実
職場で不安を感じること自体は、今に始まった話ではない。だが、コロナ禍の期間に、長きにわたり在宅勤務をしたのちにオフィスに戻ったことで、特にストレスを感じる人も一部にはいるかもしれない。 Z世代の若者たちにとっては、これは非常にお馴染みの感情だ。デロイトによる2023年の調査では、「ほぼ常に不安やストレスを感じている」という人の割合が、回答者の半分近くに達した。さらに「メニュー不安」（レストランでの注文の際になかなか選べず、あわててしまう状態）を感じる者もかなりいることが判明している。 このように、会議にまつわる不安は、さまざまな形で表出することがある。こうした不安は、インポスター症候群（自分のスキルや能力に対する自己不信）や、それに類似する感情から生じていることが多い。つまり、「自分はこの会議室にいるに値しない」という感情が、不安の引き金になっているということだ。そのため、積極的に発言する代わりに、縮こまって、「ここにいるあいだは黙っているべきだろう」と自分に言い聞かせるようになってしまう、とダーラム氏は述べる。 これは、自分を見る目と、他の人を見る目のあいだに齟齬が生じた状態だと、ダーラム氏は説明する。人は、自分が口ごもったり、不適切なことを言ったりした時には自分自身を厳しく責める一方で、同僚がそうしたことをしても気づかない可能性が高い。 「高く評価されるためには、自身の価値を証明しなければいけない、という信念が染み付いているかもしれない。しかし、これは健全とは言えない上に、実態を反映してもない」と、ダーラム氏は述べる。 「これは、自らの能力を特定の方法で示さなければならないと、自分自身に対してプレッシャーをかけている状態だ」 ダーラム氏によると、こうした影響を特に受けやすいのは女性や多様なアイデンティティが交錯するタイプの人で、こうした感情がキャリアの妨げになることもあるという。これは、社会の周縁に置かれていない層、たとえばシスジェンダー（身体的な性と精神的な性が一致している人）の白人男性などはあまり語ることがない感情だと、同氏は付け加えた。 「シスジェンダーの白人男性などの層は、自分の声が常に重視されるのが当たり前になっている」と同氏は述べる。 「意見を口に出せば、ちゃんと対応されると思っているのだ」 これに対して、たとえば黒人女性が意見を言うと、「攻撃的」「怒っている」というレッテルを貼られがちだと、ダーラム氏は指摘する。 「有色人種の女性が臆することなく自身の意見を表明したり、問いかけをしたりできる場が形成されていない」とダーラム氏は述べる。 こうした人たちの中には、「見られること」に恐れを抱いている者もいる。より具体的に言えば、「自分が失敗するところ」を見られてしまうことを恐れているのだ。そこにあるのは、「場違いなことを言っているのではないか」「こんなことを質問したら、『愚かだ』とか、『答えがわかりきった質問をしている』などと思われるのではないか」と気に病む心理だ。 つまり、こうした人たちには、「失敗するチャンス」が決して得られないということだ。 「『あんなことを言うべきではなかった、あまりに愚かだった』と思うようになる」と、ダーラム氏はその心境を解説する。 「そして、自ら生み出した負のスパイラルにはまってしまうのだ」
