正月映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』監督・谷垣健司が語るカンフーの国の冒険【後編】「ドニーと仕事をすると『世界で最高のアクション映画を作っている』という自信がもらえるんです」
現在、全国公開中の映画『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』は、ブルース・リー、ジャッキー・チェン、サモ・ハンなど、先人たちが築き上げてきた香港のアクション文化財を太ったドニー・イェンにたっぷり詰め込んだ、香港映画史に新たに灯った"発福星(幸せそうに太った星)"だ! 監督を務めた日本人・谷垣健治氏が、インタビュー【前編】に続き本作の魅力や裏話をじっくり語る! 【画像】作品について語る谷垣健治氏と映画の場面写真 ■ドニー・イェンの新境地を拓く! 現在、全国公開中の映画『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』は、サモ・ハンの『燃えよデブゴン』(1978年)を下敷きにした、アクション・コメディだ。ラブ・ストーリーでもある。超・要約すると、太っていてめちゃくちゃ強い主人公が香港と東京を舞台に大活躍して恋人とうまくいくお話。 けれどもサモ・ハンと違って、ドニー・イェンはもともと太ってはいない。なぜ彼を『デブゴン』にしたのだろうか? 谷垣「6年くらい前に、太ったドニーとやせたドニーが家の中で追いかけっこする、っていうCMを僕が監督したことがありました。その後、次の企画を考えてる時に『あのCMのキャラを使って映画ができないか』とドニーが言い出したんです。『映画もケンジ、お前が監督だ』っていつの間に話が進んでいきました(笑)。 太った達人を主役にするなら、やっぱりデブゴンだよな、と自然に決まって、タイトル(原題『肥龍過江』)もそっくりちょうだいしたわけです。 毎日のようになにか問題が起きる大変な現場でしたが、ドニーと仕事していると『いま自分は世界で最高のアクション映画にたずさわっているんだ』という自信がもらえるんです。ドニーからは細かいアイディアとかアドバイスもたくさんもらいましたが、一番はやっぱり気持ちの面でね、安心感がありました。 この作品が『燃えよデブゴン』のリメイクか、オマージュか、と受け取られるとちょっと違うかな、と思います。そもそもサモ・ハンの『デブゴン』自体がブルース・リーの『ドラゴンへの道』(1972年)をオマージュしてるわけで、その関係も踏まえて、そこからさらに40年間の蓄積を知る僕らがやっている。オマージュと言うなら、それこそ『香港アクションオマージュ』といえるかもしれません」 その言葉通り、『デブゴン』は一粒で何度もおいしい作品だ。見所をいくつか、監督とともに紹介してゆこう。 物語の序盤では「体重66キロの敏捷な刑事」を自負する主人公フクロン(ドニー・イェン)がコミカルなアクションを見せてくれる。だが、ある事件をきっかけに失意のどん底に沈んだフクロンは、暴飲暴食を繰り返したあげく、120kgまで太ってしまう! 谷垣「フクロンが肥えてゆく過程を見せたのはドニーのアイディアです。『6か月後』といったテロップで済ませばいいと思ってたんですが本人が『やっぱり過程を見せたい』ってやる気満々で。ドニーは、太ってからも基本的には動き方を変えないことに強くこだわっていました。鈍くなったり、体がつっかえたり、体重がハンデになる描写は必要ない、と。『この体型でそれまで通りに動くからおもしろいんだ』って。そこはブレなかったです」
【関連記事】
- 正月映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』監督・谷垣健治が語るカンフーの国の冒険【前編】「香港映画のスタントマンになりたくて、ジャッキー・チェンに『僕の技を見てください!』って押しかけてみたけど......」
- 映画『キングダム』で人智を超えた超スピードを披露! 現代忍者・坂口拓って何者?
- 角田陽一郎×本広克行(映画監督)「高3で交通事故に遭い、東京の映画学校進学を決意」
- 角田陽一郎×森山未來(俳優)「筋金入りの"マイケル・マニア"が選ぶベストMVは?」
- 『スーパー戦隊』『ウルトラマン』『仮面ライダー』...日米の特撮を制覇した坂本浩一監督が語る、アクションへのこだわりとヒロインへのフェチズム