駐韓米国大使が与党代表と面談、韓国軍統帥権問題で懸念表明「北が挑発してきたら誰と話せばいいのか」
今月3日夜に尹大統領が非常戒厳を宣布した直後、ポール・ラカメラ韓米連合司令官(在韓米軍司令官)が韓国軍と協議した後、対北朝鮮情報監視態勢「ウオッチコン」を格上げするなど、韓半島の安保は非常状態にあるが、現在の韓国軍統帥権は米国が懸念するような空白状態同然だという指摘だ。韓国軍統帥権は憲法に明記されている韓国大統領固有の権限だ。大統領が弾劾され、職務が停止されれば、首相が権限代行としてこうした大統領固有の権限を行使することができる。しかし、7日に尹大統領弾劾訴追案が廃案となり、法的に尹大統領の職務は停止されず、大統領固有の権限も依然として尹大統領にある。だからといって、政治的に無力化している尹大統領が軍統帥権を行使することは実質的にできない状態だ。尹大統領は7日、「今後の国政運営は、わが党と政府が共に責任を持って進めていく」と述べたが、憲法学者の大多数は「この宣言だけで大統領固有の権限が党と政府に委任されたと見なすことはできない」と解釈している。大統領固有の権限を他人に委任すること自体が違憲だという見方が大半だ。 韓国政府関係者は「このような理由から、有事の際、国軍と連合して軍事作戦をすることになっている米国は『今の韓国軍は誰が指揮するのか』と質問している」と言った。マシュー・ミラー米国務省報道官は9日(現地時間)の記者会見で、「バイデン大統領は尹大統領と直接連絡を取っていないようだ」という質問に対し「バイデン大統領の関与計画については言及すべきことがない」と答えたが、これは事実上、尹大統領を同盟相手国の実権者として認めていないという解釈もある。韓米日安保協力体制の1軸である日本も、これに関連して懸念を表明しているという。韓国外交部(省に相当)のキム・ホンギュン第1次官は9日、水嶋光一駐韓日本大使と面談し、韓国国内の状況について説明した。 元韓国軍将官は「有事の際、軍を総指揮して国と国民を守ることができる人が誰もいない状態のまま放っておくことはあり得ないことだ」「大統領の軍統帥権を合法的に別の人物に代行させる方策を急いで整えなければならない」と語った。 金耿必(キム・ギョンピル)記者