Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

「カバン汚れた」と現金要求、詐欺カップル逮捕 飲食店に伝えたい「言いがかり」対応術

配信

弁護士ドットコム

広島市内の飲食店で6月20日、「カバンが汚れた」などの言いがかりをつけて金銭を要求したとして、男女2人組が詐欺未遂の現行犯で逮捕されました。 【写真】「カップル入店禁止」を掲げる飲食店 前日にも同様の事案が発生しており、2人を発見した捜査員が追跡。隣の席で警戒していたといいます。報道によると、全国で5年ほど前から同様の行為を繰り返していたようです。 しかし、どうしてこんなに長い間、同じ手法が通用したのかという疑問も湧きます。 多くの飲食店で顧問を務め、自身もホルモン焼肉店を経営する石崎冬貴弁護士に、「言いがかり問題」の実情を聞きました。 ●「数万円で終わるなら、そっちの方が…」 ーーどうして、お店はお金を払ってしまうのでしょう。 「古典的な手口ですね。今はネットで何を書かれるか分からない。いくら怪しくても、もしかしたら本当かもしれないですよね。色々な難しさがあります。 それだったら、数万円で終わるんだしと、店側も払ってしまう。争っても労力や費用と見合わないんですよ」(石崎弁護士) ●店のミス明白なら…「ウソで金額釣り上げる客」も ーー店に責任がある場合でも、というか店の責任が明らかだからこそ、金額で揉めるということもありそうですね。 「焼肉屋の店員が、お客さんのカバンにタレをこぼしてしまったというケースがありました。そのこと自体は店側も認めています。 ただ、請求額が明らかに高いんですよ。ブランドのカバンだった、新品にしろと。後になって、服も汚れたとか、慰謝料を払えとか言いだして、“損害”が拡大していった。 そこで顧問だった私が間に入りました。もちろん、ミスしたのは店の方ですが、不当な要求まで飲むことはない。店側が悪いと分かれば、ハッタリをかけて金額を釣り上げるという人は確かにいますね」 ●「確認するので時間をください」がベター ーーそれでは、具体的に「言いがかり」をつけられたとき、どうしたらいいんでしょうか? 「現場のスタッフは、要求を拒否すべきか、謝罪すべきかを判断できません。マニュアルをつくっておくことが重要です。 結果的に言いがかりだったとしても、クレームが入った段階では、事実関係は分かりません。まずはお詫びを入れるのが無難でしょう。 日本では『すみません』は挨拶みたいなもの。『(お手間をかけて)すみません』という意味であって、それだけで法的責任を認めたことにはならないので、安心してください。 具体的な対応ですが、お客さんにどこでどういう風になったのか、事実関係のヒアリングが大切です。応答の内容については、日報のような形で記録を残します。被害状況を把握するため、写真も撮らせてもらうといいでしょう。 言いがかりであったり、お金をふっかけてくる相手だったりする場合は、検討の余地を与えず、その場で判断しろと言ってくる可能性が高いです。 しかし、『上司(店長、マネージャー、オーナー)に確認しないと判断できないので時間をください』と伝えましょう。周りの従業員にもヒアリングし、話を上役にあげて判断をあおぎます。最終的には店としての判断になります」 ーー相手が聞く耳を持たないときは警察を呼ぶべきなんでしょうか。 「サービス業ですから、警察は極力避けるべきでしょう。ただ、こちらの意思を何度伝えても、恐喝まがいのことを繰り返すようでしたら、迷惑行為として警察に相談すると良いと思います。 こういう何とも言えないクレームというのは、やはり対応がすごく難しいというのは間違いないですね」 【取材協力弁護士】 石崎 冬貴(いしざき・ふゆき)弁護士 神奈川県弁護士会所属。飲食業界の法律問題を専門的に取り扱い、食品業界や飲食店を中心に顧問業務を行っている。著書に「なぜ、一年で飲食店はつぶれるのか」「飲食店の危機管理【対策マニュアル】BOOK」(いずれも旭屋出版)などがある。 事務所名:弁護士法人横浜パートナー法律事務所 事務所URL:http://www.ypartner.com/

弁護士ドットコムニュース編集部

【関連記事】