58歳娘が青ざめた…母から「9000万円の自宅」を相続した後に届いた「突然の支払い請求」
筆者は17年間にわたり、多くの方々に資産形成や相続対策のアドバイスを行ってきた経験から、これまであらゆる相続争いのケースも見てきた。 【写真】125万人が忘れている「申請しないともらえない年金」をご存知ですか 今回は母親が良かれと思って書いた遺言書のせいで、もともと仲が良かった姉妹が最悪の関係になったしまったというエピソードを紹介する。 <【前編】母の死後、「1000万円」を相続した娘が絶句…遺言書が招いた「最悪の相続トラブル」>では、姉に9000万円の自宅を、妹に1000万円の預金を相続するという内容の遺言書が姉妹の争いを招いたしまった経緯を紹介した。 後編となる本稿では、引き続きトラブルの内容とそのポイントを解説する。
妹から突然の支払い請求
遺言が開封されて話し合いが進まないまま1ヶ月ほど経ったある日、妹から届いた郵便の中身を見て長女は驚愕した。 「速やかに1500万円を支払ってほしい」という金銭の支払いを求める内容だったからだ。 長女には「なんで1500万円?」という疑問もあったが、何より少し前まで仲が良かった妹から前触れもなく支払いの請求書を送られたことがショックだったようだ。 こういった請求や相続の争いに巻き込まれるのは初めてだったので、知り合いに相談していたところ私が紹介されたわけである。
遺留分
私はまず長女に妹からの1500万円の請求の根拠となる遺留分について説明した。 遺留分とはどんな内容の遺言書があっても各相続人が最低限、受け取ることができる財産のことである。 遺留分は法定相続分(法律で定められた相続の取り分)の1/2である。今回は母親の相続財産が1億円で、姉妹それぞれの法定相続分が5000万円なので、遺留分はその1/2の 2500万円となる。 2500万円から妹が遺言で受け取る預金1000万円を差し引いた1500万円を長女に金銭で支払うよう請求があったわけである。 つまり妹は正当な権利を主張しているということである。 また「金銭」で支払うというのもポイントである。実は相続法の改正で2019年7月から遺留分は相続財産の金銭での精算が基本になった。 つまり長女は妹にきっちり1500万円を金銭で支払う必要がある。