食通に早くも話題! イタリアンのレジェンドシェフが手がける新店とは
山田宏巳シェフが辿り着いた、今のリストランテのあり方
2020年10月ごろから、山田宏巳さんが赤坂に新しい店をオープンするという話はグルメの間で話題になっていた。山田さんといえば、かつて原宿にあった伝説のイタリア料理店「バスタパスタ」のシェフを務めたことで知られ、その後も日本のイタリア料理界をリードしてきたレジェンドである。そんな彼が新天地として選んだのは、赤坂の小さなリストランテ。12月1日にグランドオープンを果たした「インフィニート ヒロ」の全貌を紹介する。
小さなリストランテのカウンターに立つ、ベテランシェフの誇り
赤坂駅から徒歩3分、赤坂見附駅から徒歩5分の立地に「インフィニート ヒロ」はある。 100席規模の店で腕を振るってきた山田さんの経歴を考えると、全21席という規模は意外にも感じられる。
「小さな店で、またじっくりと料理を振る舞いたい。年齢的なこともありますが、その方が今の時代にも合っているのではないかと感じています」と山田さん。
御年67歳。トップシェフがこの年齢で新しい店を持つのは珍しい。しかも店名には、インフィニート=無限と銘打っている。「この仕事には終わりがありません。料理はずっとつくり続けることができて、人を幸せにできます。経験を積んだからこそ可能になる料理の幅広さ、奥深さ、そういったものをぜひ体感しにきてほしい」と山田さんは続ける。
おいしさに笑みがこぼれる“冷製カッペリーニ”
料理は20000円のおまかせコースのみで、前菜3~4品、魚料理、肉料理、パスタ、デザートを楽しめる。
この日の前菜は、高知産のフルーツトマトを使った冷製カッペリーニ。ご存じの方も多いだろうが、「フルーツトマトの冷製カッペリーニ」は山田さんが考案したもの。今では色々な店で提供されているが、そもそも茹でたパスタを冷水で締めて提供する店はイタリアではほとんど見ない。山田さんは当時、甘みの強い高知産フルーツトマトのおいしさをどうしたらいかせるかを考え抜き、パスタを冷やしてみようと思いついたのだ。
この日のカッペリーニは、フルーツトマトに洋ナシを合わせていた。 「フルーツトマトは冬から春にかけて、どんどん甘みが増していきます。今日のトマトはまだ酸味が強いので、新潟産の洋ナシ“ル・レクチェ”を合わせました」と山田さん。