「信用データ」の利用が公平な社会を築く基礎になる? 慶応大・宮田教授
15日のABEMA『NewsBAR橋下』に、慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章氏が出演した。 【映像】“Google感染予測“を監修!宮田裕章・慶大教授に聞く「デジタル社会」 「あらゆるものをデータ化しようとする癖がある」と話す宮田教授は“医療ビッグデータの活用”を唱えており、厚生労働省とLINEと連携し全国調査を実施、Googleが提供する感染予測の日本版を監修するなど、新型コロナウイルス対策でも活躍している。また、銀髪に革ジャンという大学教授のイメージを打ち破るファッションも注目されている。 昨今の中国のデジタル化に注目しているという宮田氏は「中国のアント・フィナンシャル(現アントグループ)。“世界最大のIPO”と言われたが延期になったことで話題になったが、彼らが進めようとしているのが、世界で進む破壊的デジタル革命の一つだ。日本にもフィンテックが入ってきて、銀行で一般職の採用がなくなったりしたが、中国で起きていることは、もっと強烈だ。彼らは公的機関と連動しながら、“信用スコア”といわれる個人データを使ってお金を貸した結果、返済されない確率が10分の1まで減った。その結果、銀行窓口が苦情受付の相談係みたいになってしまった。そのくらい、業界構造が激変する。個人として全面的に賛成しているわけではないが、データを使うことで社会の姿が変わっていくという未来の一つだと思う」と話す。 「それこそ飲み会とかで自分の信用スコアを出し合ってマウントを取り合うといったことが行われていたりする。日本でもクレジットカード会社が裏でデータを持っているが、これが中国では減点法とか罰則ではなく、ゴミをちゃんと分別して出したとか、帰省すると親孝行だとか、そういうことでポイントがアップする仕組みになってきている。ある程度以上のスコアになると無担保で何百万も借りられちゃうという事例も出てきているし、お行儀の悪いお金持ちより、お金を持っていないが、正しく行動している人の方が信用できるということになり、お金持ちでも信用が高くなければ子どもをいい学校に入れられない、といったことも出てくると思う。今まで、“お金より大事なものはある。それは愛だ”とか言っていたが、結局それらは交換、共有できない。産業革命以降、社会を金融合理性が支配していたが、データを使うことによって別の軸ができ始めているということだ」。