競輪学校落第にデビュー目前での大ケガ「やっぱり選手になれないんじゃ…」2世ガールズレーサー苦悩と努力の軌跡/鈴木彩夏インタビュー前編
デビュー直前に再び試練「やっぱり選手になれないんじゃないかと」
しかし、遠回りして掴んだデビュー戦を間近に控えた鈴木彩夏に試練は続いた。 「デビュー戦は静岡の予定でした。でも静岡に行く3日前に松戸のバンクで練習中に落車をしてしまいました。骨折はなかったけど肩鎖関節を痛めてしまい、肩の軟骨もつぶれてしまっていたんです」 人生初の挫折を乗り越え、競輪選手としての第一歩を踏み出そうとした矢先だった。 「肩も上がらなかったし痛くて、擦過傷もひどかった。届いて何日か練習で乗っただけの新車もつぶれてしまった。気持ちは落ち込みましたね。やっぱり私は競輪選手になれないんじゃないか、と…。お父さんもがっかりしていました」 7月前半に出ていたあっせんは2場所欠場し、2016年7月31日の高知でデビューを迎えた。 この開催には108期の仲間、尾崎睦と児玉碧衣がいたが、落車明けの鈴木には厳しい相手だった。1走目は自転車競技のスタートラインをともに切った児玉と同乗。流れの中で児玉の後ろに鈴木が追走する形となったが、児玉の仕掛けに鈴木はあっさりと離れてしまった。 「睦さんと碧衣ちゃんと一緒の開催でうれしかったけど、2人が遠い存在に感じました。肩の痛みもあり、まともにレースに臨める状態ではなかったです」 デビュー開催で車券に絡むことはできず、4場所目の松戸ではレース中の落車を経験。8場所目の京王閣を走り切ると、肩の手術を決断。長期休養に入り、翌年以降の巻き返しに備えた。 「肩の痛みがなかなか引かず、病院を回って3か所目の船橋整形外科で手術してもらえることになりました。そこでの手術がうまくいって、やっと練習ができるようになりました」 (後編に続く)